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外国勢との実戦“ゼロ”で五輪に臨む新生ホッケー女子代表…それでも目標を「金メダル」に掲げる理由
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2021/06/13 11:00
2018年W杯の壮行会見で意気込む永井友理(右)、葉月(左)姉妹。7月24日から予選の戦いが始まる
同一競技において3きょうだいが選ばれるのは、1996年アトランタ五輪柔道の中村佳央、行成、兼三、2012年ロンドン五輪体操の田中和仁、理恵、佑典以来のこと。
永井3きょうだいは両親の存在もあり、ホッケー界では知られた存在である。両親はともに日本代表。父は日本代表の主将を務め、さらにはリオ五輪の女子代表監督だった。つまり、長女・友理、次女・葉月の2人は父とともにオリンピックに出場していたことになる。
今回、3人そろって選ばれたことについて、友理はこう語る。
「光栄なことですけど、それ以上に責任があると思います」
妹の葉月も自分なりの責任を感じてきた。1次リーグで敗退したリオ五輪の後、こう語っている。
「リオで負けたからこそ、東京では金メダルで見返したいという気持ちが強いですね。リオの監督は父だったし、負けたのは自分たちだけの責任じゃないけど」
そしてこう続けている。
「姉もいろいろ責任を感じていると思います」
ホッケー一家に生まれ育ち、皆が日本代表で活動するまでになったからこそ、真摯に自身の立ち位置と向き合ってきたからこそ、それぞれに責任感を持つ。
五輪に懸けるホッケー一家の思い
そしてホッケーに生きてきたから、東京五輪で果たしたい目標がある。
友理は改めて決意を口にした。
「オリンピックはこれが最後、集大成になると思います。結果を出して、ホッケーをメジャーにしたいです」
五輪競技の多くは、オリンピックという舞台以外で注目される機会がどうしても少ない。そしてオリンピックで華々しい活躍がなければ、いくら大舞台に立っても陽の目を見ることにはならない。
それを知るからこそ、「今度こそ」という強い思いがある。
海外の国もそれぞれに、大きな影響を受けながら進んできたこの1年。日本もまた、青写真通りの準備はできなかった。
それでも、競技に人生を懸けてきたから、選手たちは気持ちを切らさない。
可能性を信じて、大舞台を見据えている。