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藤井聡太二冠に挑む渡辺明名人、勝利した“地球代表”深浦康市九段もスゴい… “観る将”マンガ家が描く「5月の将棋ハイライト」
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida(illustration)
posted2021/06/02 17:01
マンガで描く5月の将棋ハイライト。全イラスト3枚は関連記事からご覧になれます!
ほかにも人気者の木村一基九段が“天使の羽根”、いかにも真面目そうな中村太地七段が“うさ耳”をつけたり、チーム豊島の3人がお絵かきしたり……。棋士の方々って、本当にサービス精神旺盛ですよね。対局中の表情から全く想像がつかなかったんですが、こういった行動には“将棋を普及したい”という思いがあるんだろうな、と思っています。
73歳桐山九段の勝利にも感銘を受けました
公式戦を見てみると、現役最年長73歳の桐山清澄九段に感銘を受けました。5月14日の第34期竜王戦5組の残留決定戦で、34歳の上村亘五段に勝利し、来期の現役続行の権利を勝ち取りました。
将棋界の規約で、いわゆる「負ければ引退決定」という対局があることを知りましたが、その極限の緊張感が漂う一局で勝利するのだから凄い……通算996勝ということで、ぜひその白星を1つでも多く伸ばしてほしいと願っています。
その桐山九段を師匠に持つ豊島将之竜王・叡王にも、6月には注目したいですよね。王位戦で藤井二冠に挑戦します。対戦成績がよく話題になりますが(豊島竜王の6勝1敗)、2人の偉大な才能の初タイトル戦が、どのような展開になるのか――すでに楽しみでしかありません。
藤井二冠に勝利した“地球代表”
(3)5月の藤井二冠を見ていて思ったこと
藤井二冠の対局はABEMAさんが積極的に中継してくれることもあり、じっくり見られてうれしい限りです。ただ、5月初戦で連勝ストップとなるとは(そこまでに19連勝していたこと自体すごいんですけどね)。
王座戦で藤井二冠に待ったをかけたのは深浦九段でした。深浦九段と言えば「もし将棋星人が地球に来て、地球代表として戦ってもらうとしたら……」というたとえ話がきっかけで「地球代表」との異名が生まれたと聞きましたが、2017年の叡王戦で“将棋星人”のような藤井二冠と羽生九段に勝利したことで晴れて「地球代表」となったとのこと。って、どんなエピソードですか(笑)。
とはいえ攻め込んできた藤井二冠相手に終盤で逆転して勝利する姿には、カッコよさを感じましたね。
深浦九段にこそ敗れた藤井二冠ですが、その後は3連勝。それも三浦弘行九段(順位戦B級1組)、行方尚史九段、永瀬拓矢王座(ともに叡王戦)と実力者ばかりなのだから、やはり恐るべき実力なのですね……。