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米投資ファンドがオールブラックスに触手…世界のラグビーに今、何が起きているのか【日本の新リーグも対象になる?】
 

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竹鼻智

竹鼻智Satoshi Takehana

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posted2021/05/30 17:01

米投資ファンドがオールブラックスに触手…世界のラグビーに今、何が起きているのか【日本の新リーグも対象になる?】<Number Web> photograph by Getty Images

ラグビーが国技とも言えるニュージーランド。その象徴であるオールブラックスに海外の資本が入ることになりそうだ

 この動きを受けて、隣国のオーストラリアラグビー協会のチェアマン、ハミッシュ・マクレナン氏も「15%以内であれば、我々も収入権の売却は検討する」と、投資ファンドへの公募ともとれる発言を残した。スポンサー企業よりもさらに大きな資金援助が必要、という厳しい財政を物語る発言だろう。

 伝統的にアマチュア主義をモットーとしてきた15人制ラグビー。これに反対する動きとして、13人制のリーグラグビーが“プロスポーツ”として誕生した。1995年に15人制ラグビーもプロ化が決定したが、現在の世界のラグビー事情を見ると、今後も世界でプロスポーツとして運営できるかは懸念される。

 この状況で、スポーツへの投資に特化する投資ファンドの力を借りるのは、止むを得ない流れかも知れない。

「受け入れる選択肢はあっていい」

 来年から新リーグがスタートする日本に目を向けて見ると、さまざまな課題が存在する。日本も新リーグを財政面で支えるため、海外の投資ファンドの力を借りるのはどうだろうか。日本ラグビーを長く取材する日本経済新聞スポーツビジネスエディターの谷口誠氏はこう語る。

「海外の投資ファンドを受け入れる、という選択肢はあっていいと思います。日本国内の他のプロスポーツ、世界のラグビーの流れ次第では、日本ラグビーの新リーグにもアプローチが来るかもしれません。

 ですが、日本のラグビー界がこうした金融資本主義をどこまで受け入れることができるか。オーストラリアラグビー協会は、15%を案として投資を募っているようですが、中長期的にこのパーセンテージがずるずると引き上げられてしまうリスクもあります。投資ファンドの利益追求が過剰なレベルにまでいくと、当然スポーツの運営がおかしくなってしまいます」

【次ページ】 新リーグへの投資の可能性は?

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