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首位独走・阪神タイガースの裏で再評価される“鉄人の眼力”…金本知憲が描いていたドラフト戦略「最低3~5年後を見ないといけない」
posted2021/05/14 00:00
text by
豊島和男Kazuo Toyoshima
photograph by
Nanae Suzuki
阪神タイガース前監督の金本知憲がワイン通の一面を持つことは、あまり知られていない。自宅にはワインセラーも保有。特にお気に入りは、白ワインよりも熟成された赤ワインだ。監督業を離れて、はや3年。野球のことを考えずにグラスを傾ける日も増えただろう。現在は野球評論家、解説者としてネット裏から白球を追う。
「今年は阪神が好調だな」
そんな野球ファンの声は前監督の耳にも届いているに違いない。
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2021年、日本のプロ野球は昨年に続いてコロナ禍でスタートした。開幕前には多くの野球評論家たちが順位を予想。セ・リーグの優勝候補には3連覇を狙う巨人と阪神の2チームが多く挙がった。その見立て通りの戦いがシーズン序盤から展開された。
3月26日の開幕から1カ月が経った4月26日時点で阪神は25試合を消化して18勝7敗で勝率.720を誇った。順位は堂々の1位。一方、リーグ2位のヤクルトは25試合を消化して13勝8敗4分けで勝率.619だ。3位の巨人は27試合を消化して14勝9敗4分けで勝率.609。首位とはわずか3ゲーム差で追走していた。
阪神は開幕3戦目の3月28日のヤクルト戦(神宮)で2019年3月30日以来729日ぶりの単独首位に躍り出た。4月4日の中日戦(京セラドーム)で再び単独首位に返り咲くと、その後は首位を堅持。見事なロケットスタートを切った。
「やはり巨人と阪神の2強ですね。選手層、戦力を比較すれば巨人よりも阪神の方があると思いますね」
評論家だけでなく、他球団のスコアラー陣も戦力は阪神の方が「上」と評価していた。15年間もリーグ優勝から遠ざかっているチームがシーズンに入っても「好調」をキープ。その要因は何か? 当然ながら選手の活躍がチーム成績に直結していることは明らかな事実。その選手たちの多くは近年のドラフトで入団した若虎たちなのだ。