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【潜入取材】藤井清竹くん7歳が受ける“ネイマールやロナウジーニョらと同じ英才教育”… ブラジル名門のスゴい育成システム
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Sugiyama/Hiroaki Sawada/Naoya Sanuki
posted2021/05/05 17:03
藤井清竹くん(中)はネイマール(左)やロナウジーニョと同じ“英才教育”を受けることになる
「ブラジルにはありとあらゆる人種の選手がいるので、日本人だから、欧州系だから、黒人系だから、といったことは一切考えない」と前置きして、「キヨは体のサイズが平均以上で、骨格もしっかりしている。生まれも育ちもブラジルだから言葉の問題はなく、仲間ともよく打ち解けている。テクニック、身体能力も平均レベル以上で、私は彼を一人の将来有望なブラジル人選手とみなしている」という答えだった。
付き添いとして“潜入取材”に成功
4月20日に清竹君がフラメンゴのU-7の初練習に参加することを陽樹さんから聞き、取材したいという意向を伝えた。
ただし、昨年の3月中旬以降、ブラジルのほとんどのプロクラブがトップチームから下部組織まであらゆるカテゴリーの取材を受け付けていない。通常なら下部組織の練習を取材するのは全く問題がないはずなのだが、この状況では正面切って取材を申し込むと断わられる可能性がある。
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当面、下部組織の練習では選手の付き添いとして大人1人に限って同行できるという。そこで、陽樹さんの代わりに20日の練習を見学させてもらうことにした。やや大袈裟に言えば、"潜入取材"ということになる。ただし、特段変わったことをするわけではなく、他の選手の父兄と同様、練習を見守るだけだ。
この日の練習は、午後6時から8時まで。その前に、クラブの事務所で清竹君の選手登録証と陽樹さんの同行者カードを作ってもらう必要があった。
とんでもなく広大なフラメンゴの敷地
フラメンゴの本拠地は、市南部のガベア地区にある。7万3000平方メートル(東京ドームの1.5倍強)の敷地に7面のテニスコート、5つのプール、3つの体育館、1つのフットボール・スタジアム、スポーツジム、レストラン、医務室、リハビリ施設、更衣室、イベント会場などがあり、約2万4000人の会員が13種類のスポーツを楽しんでいる。
この施設は総合スポーツ部門で、利用するには会員になる必要がある。会員権の相場は2万5000レアル(約50万円)程度で、会員の多くは中流以上の階級に属する。
一方、プロフットボール部門は、市の南西のバルジェン・グランジ地区に17万平方メートル(東京ドームの3.6倍強)の広さのトレーニングセンターを持つ。天然芝のピッチが5面、ハーフサイズの人工芝のピッチが1面、ゴールキーパー専用の練習ピッチが1面あり、U-15からトップチームまでがここで練習する。敷地内に、下部組織の選手のための寮もある。