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【独自】“交際0日で結婚→育児してブラジル柔道監督” 藤井夫妻の7歳愛息が日本人初のフラメンゴ加入!「いつかタケフサと…」

posted2021/05/05 17:02

 
【独自】“交際0日で結婚→育児してブラジル柔道監督” 藤井夫妻の7歳愛息が日本人初のフラメンゴ加入!「いつかタケフサと…」 <Number Web> photograph by Haruki Fujii

日本人として初めて“フラメンゴの一員”となった7歳の藤井清竹君

text by

沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

PROFILE

photograph by

Haruki Fujii

ブラジル柔道男子代表監督を務める日本人女性の藤井裕子さんと夫・陽樹さんの奮闘を以前配信したが、物語には続きがあった。7歳の長男である清竹君が、なんとブラジルフットボールの名門フラメンゴに日本人として初加入したという。久保建英とのエピソードや初練習の“潜入取材”など、全3回にわたってレポートする(#2#3はこちら)

「僕の夢? バルセロナに入って、タケフサ(久保建英。レアル・マドリー所属だがスペイン1部ヘタフェに期限付き移籍中)と対戦したい!」

「久保選手」でも「久保君」でもなく、「タケフサ」。一瞬、「そんなことが可能なのか」と思ったが、年齢差は12歳半ほど。不可能ではない。

 自宅の壁という壁が、フットサルのフォーメーション図や飛行機の絵やらで埋まっている。落書きをするのは、「楽しいから」。最近では3歳の妹・麻椰ちゃんまで真似るようになったが、両親は好きにさせている。

 7歳の誕生日プレゼントに電動工具をねだり、それを巧みに操ってこしらえた船や飛行機などの"作品"が、ベランダに所狭しと並ぶ……。

 生まれてからずっと熱帯の太陽に焼かれ続け、顔も手足も真っ黒。足にはいつも一本歯下駄(姿勢が良くなり、身体能力が高まるとされる。ブラジル人はかなり驚くが、意に介さない)。日本からは地球の反対側で、伸び伸びと育った“野生児”だ。

 藤井清竹君。2014年1月22日、リオデジャネイロ生まれ。身長128cm、体重28kgは、同年齢の日本人男子の平均を身長で約7cm、体重で約4kg上回る。ブラジル人の同年齢の男の子と比べても、一回り大きい。

 少し変わった名前は、両親が沖縄を拠点に活動するロックバンド「MONGOL800」の大ファンで、ボーカル上江洌清作(うえず・きよさく)の名をもじって付けた。愛称は「キヨ」で、ブラジル人からもそう呼ばれる。

 両親が日本人なので日本国籍を持つが、ブラジルは出生地主義で国内で生まれたら両親の国籍とは無関係に国籍を与えるので、両方の国籍を持つ。

ブラジル男子柔道監督を務めるお母さん

 そんな清竹君のご両親について、以前の記事でも触れたが――説明しておこう。

 母・裕子さん(38)は、柔道のプロコーチだ。

 愛知県大府市出身で、1982年バルセロナ五輪男子78kg級金メダルの吉田秀彦、2004年アテネ五輪と2008年北京五輪の女子63kg級で2連覇を遂げた谷本歩実ら多くのメダリストを育てた大石道場で5歳のときに柔道を始め、中学、高校では全国大会で上位に入った。広島大学教育学部を卒業後、大学院に進み、現役を引退し、英国のバース大学へ留学。英語を学びながら大学柔道部のコーチを務めた。

 英国柔道女子代表のコーチに抜擢され、2012年ロンドン五輪で12年ぶりのメダルをもたらす。2013年5月、ブラジル柔道男女代表の技術コーチに招聘され、2016年リオ五輪で女子57kg級ラファエラ・シウバの金メダル獲得などに貢献した。リオ五輪後もブラジルで指導を続け、2018年5月、若い外国人女性でありながらブラジル柔道男子代表監督に指名された。

 昨年3月半ば以降、ブラジルは新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大して練習環境の確保に苦労しているが、東京五輪での好成績を目指して海外遠征や国内合宿を繰り返す多忙な日々を送っている。

【次ページ】 フットボール修行が始まったのはゼロ歳

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