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【潜入取材】藤井清竹くん7歳が受ける“ネイマールやロナウジーニョらと同じ英才教育”… ブラジル名門のスゴい育成システム
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Sugiyama/Hiroaki Sawada/Naoya Sanuki
posted2021/05/05 17:03
藤井清竹くん(中)はネイマール(左)やロナウジーニョと同じ“英才教育”を受けることになる
「まず、フットサルでテクニックと状況判断力を徹底的に磨く。フットサルはフットボールよりもコートが小さく、プレーヤーの数も少ないので、ボールに触る機会が多いからね。フットボールとはボールのサイズと重さも異なり、フィジカル・コンタクトがほぼ禁じられている点が違うが、それは10代前半までなら問題ない。しかし、14歳くらいになるとフットサルをやめてフットボールに専念しなければならない。フットボール選手としての完成度を高めていくんだ」
ジーコ、ロナウジーニョ、ネイマールが通った道
ジーコ、ロナウド、ロナウジーニョ、ネイマールらブラジルが生んだスーパースターたちは、ほぼ例外なくこの道筋を辿っている。
このように、通常、プロクラブではU-6からトップチームまで壮大なピラミッドが形成されている。そして、雲の上に霞むピラミッドの頂点を目指し、広大なブラジル全土で、膨大な数の少年が日々努力を重ねている。
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ブラジルでクラブがプロ契約を締結できるのは、選手が16歳になってからだ。つまり、16歳未満の選手は皆、アマチュアなのだが、月謝を払う必要はない。無料でプロコーチの指導を受け、クラブのスポーツジムやプールやリハビリ施設などを利用でき、マッサージや故障の治療などを受けることができる。ユニフォームなどの用具も、たいてい無償で提供される。練習場から家が遠い場合は選手寮に住み、そこから中学や高校へ通う。寮費や学費も、クラブが負担してくれるのが普通だ。
このような様々な特典を享受できるだけに、下部組織に入るには厳しい競争がある。入団テストに合格しなければならないし、一度入団しても常に内外の選手との競争にさらされる。少なくとも年に一度、選手の入れ替えがある。
何度でも敗者復活のチャンス、代表例はカフー
ただし、ブラジルには800前後という膨大な数のプロクラブがあり、あるクラブの下部組織から退団を余儀なくされても、他のクラブに入団すればプロ選手になる可能性は残されている。20歳くらいまでは、何度でも敗者復活のチャンスがある。
元ブラジル代表の名右SBで、2002年ワールドカップで主将として優勝カップを掲げたカフーが、19歳でサンパウロからデビューするまでに10以上のクラブの下部組織やトップチームの入団テストを落ち続けたのは有名な話だ。