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【潜入取材】藤井清竹くん7歳が受ける“ネイマールやロナウジーニョらと同じ英才教育”… ブラジル名門のスゴい育成システム
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Sugiyama/Hiroaki Sawada/Naoya Sanuki
posted2021/05/05 17:03
藤井清竹くん(中)はネイマール(左)やロナウジーニョと同じ“英才教育”を受けることになる
なお、多くのプロクラブがフットサルやフットボールのスクール(「エスコリーニャ」と呼ばれる)を各地でフランチャイズ展開しているが、これは生徒から月謝を取ってプロコーチが指導するもので、下部組織とは異なる。ただし、エスコリーニャでは「優秀な生徒は、プロクラブの下部組織の入団テストを受けるチャンスが与えられる」というのが謳い文句で、これが生徒とその父兄へのセールスポイントとなっている。
現実問題として、エスコリーニャからプロクラブの下部組織に入り、プロ選手になったケースは多くない。
その数少ない例外が、2001年から2014年までサンパウロFC、ACミランなどで活躍して2007年の世界最優秀選手に選ばれ、ブラジル代表の一員として2002年ワールドカップで優勝したMFカカである。
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彼はブラジルのプロ選手には珍しく裕福な家庭の出身で、一家がサンパウロFCのソシオだった。エスコリーニャでフットサルやフットボールの指導を受けていて、12歳のとき、エスコリーニャからプロ部門の下部組織へ推薦され、U-15の入団テストを受けて合格。サンパウロFCのトップチームを経て、世界トップの選手へと羽ばたいた。
しかし通常、プロ選手を目指す子供はエスコリーニャには入らず、強豪フットサルクラブで腕を磨いてからプロクラブの下部組織の入団テストに挑戦する。
「1人の有望なブラジル人選手とみなしている」
清竹君が通うフットサルの私塾CTEFFの指導者マテウスはフラメンゴのU-9の監督でもあるが、清竹君を高く評価している。
「キヨの最大の長所は、とても賢くて状況判断が優れていること。ボールを止める、蹴るといった基本技術がしっかりしており、体格も平均以上だ。両親の理解とサポートもあるから、今後、どんどん伸びるんじゃないかな。プロ選手? 今後の努力次第では、十分に可能だと思うよ」
日本人選手とブラジル人選手の身体的、技術的な違いについて聞くと、やや怪訝な表情を浮かべた。