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【独占取材】エディー・ジョーンズ「勝敗を決める要素の20%は対人関係」ビジネスにも通ずるアプローチとは? 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2021/04/23 11:02

【独占取材】エディー・ジョーンズ「勝敗を決める要素の20%は対人関係」ビジネスにも通ずるアプローチとは?<Number Web> photograph by Getty Images

ラグビー界だけにとどまらず、世界のトップコーチからも学びを得ていると語ったエディー・ジョーンズ。コーチングへの探究心は衰えることはない

 この本の特色は、「率直さ」にある。

 エディーさんは1996年に東海大学でコーチングに関わるようになり(クラブの官僚的態度についての棘は読んでいて楽しい)、出世の糸口となったスーパーラグビーのACTブランビーズでの日々(エスタブリッシュメントの町、シドニー、メルボルンからは蔑まれる立場)、そしてブランビーズで結果を出したことで、オーストラリア代表の指揮を執り、2003年のW杯では決勝にまで駒を進めたものの、失意に沈む。

 その後、南アフリカのコンサルタントとして2007年のW杯制覇に貢献。サントリーを経て、日本代表のヘッドコーチとして「ブライトンの奇跡」を起こす。その衝撃は、イングランドのヘッドコーチへの道へとつながっていた――。

 その過程は政治的な戦い、軋轢をも含み、物語のドライブ感は圧倒的なスピードを持つ。いくつかの栄光に包まれながらも、エディーさんは、2003年、2019年とW杯の決勝で敗れた経験を持つ。

「ワールドカップの決勝で負ければ心には深い傷が残る」と率直に書き、特に2003年に敗れたときは、完全に立ち直るまでに2年の歳月を要したという。

「いい関係性を築くことが重要です」

 エディーさんは、コーチに必要なものとして、探求心と経験の必要性を説いている。第3章は、こんな言葉から始まる。

「クリケットしか知らない者に、いったいクリケットのなにが分かるというのか?」

 これはトリニダード・トバゴの学者の言葉だが、エディーさんはラグビー以外での経験がコーチングに役立ったと話す。

「私がプレーしていた時代はアマチュアでしたから、インターナショナルグラマースクールという学校で副校長の職にありました。そこで学んだのは、人間との接し方でした。授業を効果的にするには、何人かの信頼に足る生徒といい関係性を築くことが重要です。そうすれば、クラスがまとまっていい雰囲気を作り出す。それは日本代表でも作った『リーダーシップグループ』の編成につながっていきます。そしてもうひとつは、早めに問題児とされる人間との信頼を作ること。リスクを取り除き、ポジティブな要素へと転換させるのです」

 いわゆる“問題児”への対処法は、2016年にイングランドでトラブルを起こしていたディラン・ハートリーをキャプテンに据えたことからも分かるように、エディーさんは問題児を手なずけるのではなく、その人間が持っているエネルギーを集団のために変えることを得意としている。それは教員の経験から得たものだという。

【次ページ】 61歳でも衰えることのない探究心

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