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【独占取材】エディー・ジョーンズ「勝敗を決める要素の20%は対人関係」ビジネスにも通ずるアプローチとは?
posted2021/04/23 11:02
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
読み始めたら、止まらなくなった。
『エディー・ジョーンズ わが人生とラグビー』(ダイヤモンド社)は、エディーさんのラグビーの「航海」をたどりつつ、インターナショナル・レベルのラグビーのヘッドコーチとは、どういう仕事をしているのか、それが興味深い事実と共に綴られる。
私は、2015年のW杯前に『エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」』(文藝春秋)を上梓したが、エディーさんの選手時代については深掘りしきれないこともあった。だが、選手として一流になれなかった悔恨が、超一流の指導者への道につながっていたことがこの本を読んで分かった。
ジャパンにつながったタッチフット
オーストラリアのラグビーに革命を起こしたランドウィックというクラブでプレーしていたエディーさんは、小柄なフッカーだった。オーストラリア代表まであと一歩と迫りながら代表のジャージには届かず、その一方で、20代は仲間とビールを飲むことを楽しみ、批評的ユーモアのセンスが抜群だったことが書かれる。シニカルなニックネームをつける達人であり、タッチフットボールをする時には、プレーしつつ、しかも自ら実況しながら仲間を笑わせていたという。
今回、本の出版に合わせてインタビューに応じてくれたエディーさんは昔を懐かしんだ。
「楽しかったですよ、ランドウィックでの時間は。オーストラリアでは仲間を名前で呼ぶ習慣がないのです。私の場合は、そこにスパイスをまぶすわけで(笑)。ただ、後にワラビーズに選ばれた選手が何人もいたタッチフットボールはレベルが本当に高かった。スキルを磨き、バックスは浅い位置で平行に並ぶフラットラインを敷く意識が根づきました。このアタックのシステムは、後に日本代表のアタックにつながっていきます」