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IOC重鎮に本音を聞いた「五輪は開催する」けど「感染拡大なら日本に責任」… 埋まらない世論との溝、海外メディアも悲観的なまま 

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長谷部良太

長谷部良太Ryota Hasebe

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posted2021/04/18 17:00

IOC重鎮に本音を聞いた「五輪は開催する」けど「感染拡大なら日本に責任」… 埋まらない世論との溝、海外メディアも悲観的なまま<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

東京五輪開幕100日前、ライトアップされたレインボーブリッジと五輪マーク

国内で“ほぼ報じられなかった”IOC重鎮の発言

 筆者は1月31日付の当欄の記事で、「大会中止は検討していない」と言い続け、本音を隠すようなIOCの姿勢に疑問を投げかけた。手札を全て明かし、やむを得ない場合は中止もあり得ると開催国や世界に伝えることが、コロナ禍でビッグイベントを開こうとする主催者のあるべき姿だと感じたからだ。

 残念ながら、IOCの姿勢は現在も全く変わっていない。

 IOCは4月14日、国際通信社などに限定した小規模のオンライン取材の場をセッティングした。日本のテレビ局や新聞社が招待されていなかったこともあり、国内ではほとんど報じられなかったが、ここで内容を取り上げたい。

「感染拡大したら、誰が責任を取るのか」の質問に……

 取材に応じたのは、東京大会の準備状況を監督する調整委員会のジョン・コーツ委員長と、クリストフ・デュビ五輪統括部長だった。

 質疑応答の中で、筆者はコーツ氏に尋ねた。

「五輪期間中や大会後に日本で感染が拡大したら、誰が責任を取るのか」

 選手やコーチ、メディア、ボランティア、民間警備員ら全ての関係者を含めると、大会参加者は10万人を超えるだろう。こうした巨大イベントの開催により、新型コロナの感染拡大リスクが高まることは誰の目にも明らかだ。仮に五輪開催によって日本で感染が広がった場合、IOCは責任を取る覚悟があるのか、という問いかけだった。

 コーツ氏の答えは明確だった。以下に全文を記す。

【次ページ】 開催国への配慮を欠いた“本音”とは

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