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IOC重鎮に本音を聞いた「五輪は開催する」けど「感染拡大なら日本に責任」… 埋まらない世論との溝、海外メディアも悲観的なまま
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byREUTERS/AFLO
posted2021/04/18 17:00
東京五輪開幕100日前、ライトアップされたレインボーブリッジと五輪マーク
「Covidへの対処は日本政府、東京都の責任」
「大会前後や大会中のCovid(新型コロナ)への対処は日本政府の責任であり、程度は下がるが東京都の責任になる。IOCとしては、感染拡大や日本国民と(選手ら)の接触を最小限に抑えるため、政府や東京都、大会組織委員会との合意の上で可能な限りのことをやっている。その部分には責任がある」
感染予防策に関してはIOCが責任の一端を負う一方、実際に感染が広がった場合は日本にだけ責任があるという趣旨だ。IOCにも責任があると認めてしまえば、最悪の場合、大会後の補償問題に発展してしまう可能性もある。コーツ氏の発言は開催国への配慮を欠き、「五輪反対派」の反発が強まりかねない言い回しでもあったが、これが本音だろう。
筆者はさらに、3月上旬に日本オリンピック委員会(JOC)の山口香理事がテレビ番組で訴えた思いをコーツ氏にぶつけた。
山口氏の言葉は次の通りだった。
「私は(IOCが)国民に安心、安全ということを言うのであれば、『最後の最後でどうしても駄目な時は当然、中止もあり得ます』ということを言うべきだと思います。『どんな状況でもやる』と言われると、たとえば頂上が目の前にあるから、こんなに天候が悪いのに、荒れているのに、命がけで(頂上まで)行くんだと言われているのと同じ」
「少し面白い」で片付けられてしまった
山口氏の発言への見解とともに、五輪中止を全く検討していないのかを尋ねると、コーツ氏はこう答えた。
「(大会中止の検討は)全くしていない。組織委や日本(政府)、東京都、JOCも検討していないことを知っているので、そういうコメントが出るのは少し面白い。我々は(JOCの)山下(泰裕)会長から全面的な支持を得ている」
山口氏の意見は、「少し面白い」という表現で片付けられてしまった。
火消ししたものの二階幹事長が“世論に同調”した
4月15日には、自民党の二階俊博幹事長がテレビ番組の収録中、感染拡大によって「これ以上とても無理だということだったら、(東京五輪を)すぱっとやめないといけない」と発言。司会者から「そういう(中止の)選択肢もあるか」と問われると、「それは当然ですよね。オリンピックで感染をまん延させたら、何のためのオリンピックか分からんですよね」と言葉をつないだ。
二階氏はこれまで、五輪開催に強い意欲を示してきた。今年初めには「自民党として開催促進の決議をしてもいいくらいに思う」などと述べていただけに、今回のテレビ番組の発言は異例の見解として海外メディアにも速報された。本人や周囲はすぐに火消しに走ったが、与党幹部が初めて世論に同調する意見を公にしたのは興味深かった。
日本国内でも「第4波」の到来が鮮明になり、五輪開催への危機感がいよいよ強まっている表れとも読めた。