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IOC重鎮に本音を聞いた「五輪は開催する」けど「感染拡大なら日本に責任」… 埋まらない世論との溝、海外メディアも悲観的なまま
posted2021/04/18 17:00
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph by
REUTERS/AFLO
東京五輪開幕まで4月14日でちょうど100日となった。本来ならば開催国では機運が最高潮に高まり、自国選手たちの調整ぶりやメダル獲得予想に大きな注目が集まる時期だろう。しかし、「ウィズコロナ」で初めて行われる今回は状況が全く異なる。人々の関心は、「五輪をやれるのか、やれないのか」にある。
世論調査では大半が今夏開催を疑問視
毎日新聞などが3月に行った世論調査では、東京五輪を「予定通り開催すべき」と答えた人はたった9%だった。朝日新聞が4月10、11日、東京五輪・パラリンピック開催について3択で尋ねた世論調査の結果は、「今年の夏に開催する」が28%、「再び延期する」は34%、「中止する」は35%。日本では今なお、大半が今夏の開催を疑問視している。
五輪を象徴する聖火のリレーは、新型コロナウイルスの感染予防により日本各地で変更を強いられている。4月13、14日に大阪府で予定されたリレーは、公園内で一般の観客を入れずに実施。4月21日に松山市内で予定していたリレーは中止された。聖火リレーさえまともにできないのに、選手だけで1万人以上が参加する五輪ができるのか。多くが不安を抱えるのは当然だろう。
悲観的な海外メディア、変わらぬIOCの姿勢
海外メディアの論調も悲観的なままだ。
英BBC放送は未曽有のパンデミックに加え、「性差別発言」による森喜朗前大会組織委員会会長の辞任や、女性タレントへの侮辱と受け取られる企画案によって開閉会式の演出責任者を辞任した佐々木宏氏をめぐる騒動、五輪の準備の場になる各競技のテスト大会開催に悪影響が出ている現状などを踏まえ、「東京大会が『課題に直面している』と言うのは、かなり控えめな表現になる」と皮肉たっぷりに報じた。
米紙ニューヨーク・タイムズは「一時停止ボタンを押し、五輪開催を再考する時が来た」と、より直接的に記した。