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琉球キングス、Bリーグ最大級の新本拠地「沖縄アリーナ」でいよいよ試合 “アリウープよりハードワーク”を目指すワケ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by琉球ゴールデンキングス
posted2021/04/19 17:00
田代直希は沖縄県出身でないキャプテンとして様々な葛藤と向き合い琉球ゴールデンキングスのあるべき姿を考えてきた
田代が「ハードワーク」にこだわる理由
キャプテンとしての役割と、一人の選手としての役割と、その両方をしっかりこなしたいという想いが彼にはあった。だから、キャプテンとしての仕事以外にも、自らに課している役割がある。
「ハードワークは心がけていますし、それをチームメイトにも伝染させるにはどうしたらいいのかをいつも考えていて。『このチームのディフェンスの強度やトーン(調子やリズムのこと)は僕が作ってやる』という気持ちでやっています」
田代が「ハードワーク」にこだわるのには理由がある。
「CS(チャンピオンシップ)のような舞台やリーグの上位チームとの試合では、いかに多くのシュートを決めるかということよりも、どれだけの気迫を見せられるか、どれだけハードワークできるかが勝敗に大きくかかわってくると思うんです。僕はまだCSのファイナルの舞台に立ったことはないですけど、CSの準決勝まで戦った経験から、そういうものの大切さをすごく感じました。だから、僕はそういう空気をチームの中に伝染させていきたいと考えているのです」
本当にバスケットを理解しているファンたち
2019年にキングスの一員になった藤田HCは、試合を観戦するファンの息づかいに触れてうならされた。バスケットボールに造詣の深い人たちばかりだったからだ。
「ルーズボールにダイブしたときや、相手に身体をぶつけてディナイ(マークする相手選手にパスを受けさせないようなディフェンス)しているとき。あるいは、選手が一対一のディフェンスをしているときにめちゃくちゃ低いスタンス(姿勢)で『守るぞ』という気持ちを見せるときもそうですね。そういうときに、会場の空気が変わるんですよ」
ファンの反応で会場の空気が変わるというのは、何を意味するのか。藤田HCはこう解説する。
「(試合の流れを変えるような)アリウープなどは1試合に1本あるかどうかです。でも、我々の場合は、何度もあるディフェンスの場面でモーメンタム(勢い)を変えられます。何故なら、その大切さを理解しているキングスのファンやブースターがいるからです。本当にバスケットを理解している人たちがいなければ、そうやって空気を変えることなどできませんよ」