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琉球キングス、Bリーグ最大級の新本拠地「沖縄アリーナ」でいよいよ試合  “アリウープよりハードワーク”を目指すワケ

posted2021/04/19 17:00

 
琉球キングス、Bリーグ最大級の新本拠地「沖縄アリーナ」でいよいよ試合  “アリウープよりハードワーク”を目指すワケ<Number Web> photograph by 琉球ゴールデンキングス

田代直希は沖縄県出身でないキャプテンとして様々な葛藤と向き合い琉球ゴールデンキングスのあるべき姿を考えてきた

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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琉球ゴールデンキングス

 これは、プロスポーツチームの本質をつきつめようとしている者たちの話である。

 4月21日、沖縄アリーナで初めてキングスの公式戦が行なわれる。対戦相手に新型コロナウイルスの陽性者が出たため、当初予定されていた4試合が中止になった上で、ようやく迎える“初日”である。

 沖縄アリーナは、バスケットボールの試合やコンサートなどを観に来たお客さんの観やすさを第一に考えて作られた。

 プレーする人たちの方ばかりを向いて(主に国民体育大会やインターハイの開催に合わせて)作られた従来の体育館とは一線を画す。新時代のエンターテインメント空間なのだ。

 沖縄アリーナはバスケットボールの試合では8千人程度、コンサートなどでは最大で1万人を収容する。もちろん、Bリーグのチームが使用する本拠地としては最大級の規模になる。

 そんな新時代のアリーナをホームに戦うのが、琉球ゴールデンキングスである。

「コートから最も遠い席」に届けたい

 アリーナが完成した記念すべきシーズン、ヘッドコーチ(HC)を務める藤田弘輝は、開幕前に選手たちにこう呼びかけた。

「僕たちがハードワークする姿やひたむきにバスケットに取り組む姿勢を、沖縄アリーナの『コートから最も遠い席』に座っているお客さんにも伝えられるようなチームになろう!」

『コートから最も遠い席』というところに意味がある。

 沖縄アリーナは、観客が見やすい施設を作るという関係者の強い想いが結集して建てられた。建設に尽力したキングスの社長、木村達郎は、アメリカのボストンでの留学時代にボストン・セルティックスの試合をフリートセンター(現在のTDガーデン)の最後列で観戦した経験がある。その経験は、アリーナ建設にかかわる際に大きなヒントとなった。

 藤田HCもまた、木村社長と似た体験をしている。

 学生時代にニュージャージー・ネッツ(現在のブルックリン・ネッツ)とセルティックスの試合を最後列で観たことがあるのだ。学生時代の貴重なお小遣いでようやく手にしたのが、最後列の席のチケットだった。

当時セルティックスには、ケビン・ガーネットがいた。優勝経験はもちろん、オールスターに15回選ばれ、リバウンド王も4回受賞したレジェンドである。

「僕はどちらかというと、バスケットボールのマニアのような視点で見ていたのですが、具体的な戦術どうこうではなく、ガーネットからは感じるものがありました。彼が、ものすごくパッションあふれるプレーをしていたからです。アリーナの最上段にいた僕のところにも、そのインテンシティーは伝わってきました。だから、見ている人をインスパイアするようなチームにキングスもなれたらと思っているのです」

【次ページ】 沖縄県外出身のキャプテンの葛藤

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