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琉球キングス、Bリーグ最大級の新本拠地「沖縄アリーナ」でいよいよ試合 “アリウープよりハードワーク”を目指すワケ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by琉球ゴールデンキングス
posted2021/04/19 17:00
田代直希は沖縄県出身でないキャプテンとして様々な葛藤と向き合い琉球ゴールデンキングスのあるべき姿を考えてきた
沖縄県外出身のキャプテンの葛藤
「『コートから一番遠い席の人を喜ばせたいですよね』という話は藤田さんとよくしているんですよ」
そう話すのは、キングスで6代目のキャプテンを務める田代直希だ。沖縄県外出身の選手として、初代キャプテンの吉田平以来となる大役を任された。
「沖縄出身ではないことで最初はどう思われるのかなと感じていたのですが、みなさんが受け入れてくれて。ファンの方からは『頑張ってね』と声をかけてもらうことばかりで、マイナスな言葉は一切なく、ポジティブなものばかりでした」
とはいえ、昨シーズンにキャプテンに就任した当初は悩むことも多かった。
「なんで引き受けちゃったんだろうと後悔したこともあったし、本当に大変だと思うこともたくさんあって……」
周囲からこんなアドバイスを受けることもあった。
「キャプテンの仕事について考えすぎない方がいいよ」
「キャプテンとしての仕事と、1人の選手としての仕事は切り離して考えればいいんだよ」
アドバイスに耳を傾けながらも、キャプテンの役割に向き合わないでいるのは嫌だった。
「キャプテンであることを意識しないのであれば、自分がキャプテンを引き受けた意味がないよ!」
そんな覚悟があったから、逃げることなく、リーダーとはどうあるべきなのかを考えた。
「いざというときにチームのために声をかけて、きちんと話を聞いてもらえるのがリーダーだと思うんです。でも、自分のことをわかってくれない人に、『○○しよう』と言われても聞く耳は持たないですよね? だから、他の人が、どういう考えを持って、何を面白いと感じるのかに耳を傾けていくようになりました。僕は元々すごくエゴが強くて、自己中で、他人に全く興味がなくて、きちんと筋を通してさえいればそれでいいだろうと考えるタイプだったんですけど(笑)。みんなの話に耳を傾けるような形でコミュニケーションをとるようになって初めて、僕の話も聞いてもらえる。そういうコミュニケーションをとれる人がリーダーシップのある人間なのかなと、ようやく気づきました」
葛藤していた時期があったから、今は胸を張る。
「プレーが一気に上達したとか、そういったことはないですけど、人として大きくなれたとは思います。コート上での存在感という部分は自分のなかでは増したような気はしているので、やりがいを感じていますから」