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「無難なプレーでは…」ラプターズ渡邊雄太に変化が なぜ4月はダンク急増、3Pも積極的に打つようになったのか
posted2021/04/13 11:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
USA TODAY Sports/Reuters/AFLO
トロント・ラプターズで2ウェイ契約選手としてシーズンを過ごしている渡邊雄太は、あるジレンマに直面していた。
「正直、そこは本当に難しいところで……」と渡邊は認める。
渡邊がラプターズのヘッドコーチ、ニック・ナースから評価されていることのひとつに、ミスが少ないことがある。ターンオーバーや無駄なファウルが少なく、オフェンスでもディフェンスでもチームの決まりごとを守り、手を抜くことなく、堅実なプレーができる。その信頼は、様々な戦術を駆使するナースHCのシステムにおいてはとても大事なことだ。
特にディフェンスでは、同じ試合の中でマンツーマンからゾーン、時にボックスワンやオールコートのトラップディフェンスなど、何種類もの守り方を切り替えながら戦うこともある。今、どのディフェンスで守っているのか、その中での自分の役割が何なのかを理解し、ミスすることなく実行できる能力は、ラプターズの選手にとって必要不可欠な部分で、渡邊がラプターズのロスターに残ることができた大きな理由だった。
実際、渡邊のそういった持ち味が認められ、1月下旬には、主力選手が故障していたなかではあったものの、ローテーション入りして堅実なプレーでチームに貢献していた時期もあった。
ローテーションを外れた渡邊
しかし、フル戦力が揃った状態でもローテーションに定着し、さらには来季以降もNBAで生き延びていくには、それだけでは不十分だった。2月から3月にかけてプレータイムが減り、ローテーションを外れたことにも、それは表れていた。もうひとつ上のレベルを目指して、殻を破る必要があったのだ。
そこに、渡邊のジレンマがあった。