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リバプールはU-6から…アメリカ代表で若手台頭の要因、欧州ビッグクラブ“アカデミー”の実態【バイエルンもバルサも】

posted2021/03/28 17:01

 
リバプールはU-6から…アメリカ代表で若手台頭の要因、欧州ビッグクラブ“アカデミー”の実態【バイエルンもバルサも】<Number Web> photograph by Getty Images

バイエルン時代には出場機会に恵まれなかったクリス・リチャーズだが、レンタル移籍先のホッフェンハイムでは順調に経験を積んでいる

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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 アメリカ代表の変革についての、ティエリー・マルシャン記者のレポートの後編である。若い世代の台頭は、ヨーロッパのビッグクラブとブンデスリーガの存在抜きにはありえなかった。ふたつはいったい何をアメリカの若者たちに与えたのか。クリス・リチャーズが象徴し、ジョバンニ・レイナが体現しているのは何であるのか。とても興味深い。(全2回の2回目/#1から続く・肩書や年齢などは掲載当時のままです)

(田村修一)

 クリス・リチャーズこそは、今日のアメリカサッカーの豊かさとアイデンティティを象徴する存在である。父親のケンはバスケットの選手で、アラバマ州のバーミンガム・サザン大学を卒業してプロの道に進み、最後はアイスランドやボリビア、オーストラリアでもプレーした。バーミンガムで生まれたクリス・ジェフリー(ジェフリーは父親が好きだったマイケル・ジョーダンにあやかり名づけたセカンドネーム)は、幼少時からバスケットよりもサッカーを好んだが、地元には十分な環境が整っておらず指導者もいなかった。

 そのため彼は、プロになるための本格的な指導を受けるために、17歳でテキサスに行かねばならなかった。FCダラスのアカデミーに加入したリチャーズに眼をつけたのがバイエルンのスカウトで、翌18年にはチームメイトのトーマス・ロバーツとともにバイエルンのテストを受け、ユースチームへの入団が決まった。

有色人種がより自由かつ安全でいられる国

 今日、リチャーズは、北アメリカで最も魅力的なタレントのひとりだが、近来得た国際的なステイタスを遥かに超える成功を、これから収めていくだろう。20年6月に父親のケンは、サッカーが圧倒的な地位を占めるオーディオプログラム「Scuffed Podcast」のある番組の中でこう語っている。

「私はクリスがこれまでに成し遂げてきたこと、彼の成功を心から誇りに思う。それと同時に彼がヨーロッパ――私見だがアメリカに比べ有色人種がより自由かつ安全でいられる国で、最高の選手たちとともに成長していることを喜ばしく思う」

 この最後の言葉は決してお飾りではない。それはアメリカにおけるサッカーの進化の別の側面――人種の混合をいみじくも言い表している。94年アメリカW杯におけるアメリカ代表は、90%がヨーロッパが出自の白色人種であった。それが今日の代表では、90%が有色人種である。出自も雑多でアフリカ系からカリブ系、中央アメリカや南アメリカなど変化に富んでいる。25年間でアメリカ代表は、アメリカ社会の現実――社会解放の進化を反映するようになったのだった。

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