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「四股が踏めない」鶴竜の今後は? 春場所「本命」は36歳白鵬か…「対抗」は“3人の大関”よりも“復活劇”狙う照ノ富士?
text by
荒井太郎Taro Arai
photograph byKYODO
posted2021/03/14 11:00
2月の合同稽古で阿武咲(左)と相撲を取る白鵬
「上の番付を目指すには優勝しかない。優勝しないと次に進めない」と意気込むが、それには同じ右四つで過去1度も勝っていない白鵬や照ノ富士にどう対処していくかが大きなポイントとなってくる。
大関初Vに対する思いは正代も同じだ。先場所は“行司泣かせ”の薄氷を踏む白星が少なくなかった。そういった相撲は持ち味の1つではあるものの、ケガの観点からも極力減らしていきたい。初優勝したときのように胸から思い切り当たる立ち合いで相手に圧力をかけて先手を取り、下からあてがいながら得意のもろ差しに持ち込む相撲が多く取れれば、賜盃にもおのずと近づくことだろう。
“史上最大の復活劇”なるか
大関陣以上に盤石ぶりが目立つのは、序二段からの大関返り咲きという史上最大の復活劇を目指す関脇照ノ富士だ。以前のような肩越しに取った上手で振り回すような強引な相撲は影を潜め、得意の左上手も低く踏み込んでおっつけながら取るといった理詰めの相撲が増えてきたことがコンスタントな好成績を支えている。3年ぶりに三役に復帰した昨年11月場所を前に「この3場所が大事になる」と再大関取りに明確に照準を絞るとこの場所は優勝同点となる13勝をマーク。先場所も関脇で11勝を挙げ、今場所は2桁以上の勝ち星で前代未聞の大復活も達成となりそうだ。
先場所初優勝を果たした小結大栄翔は昨年秋場所後、右肘を手術して以来、連続2桁勝ち星を挙げ、押し相撲ながら安定した地力を身につけ、次期大関候補に名乗りを挙げる勢いだ。
また、新三役から2場所連続勝ち越しと結果を残している隆の勝、照ノ富士に大いに刺激を受ける同じ元大関の小結髙安、優勝2回と実績十分の御嶽海ら、大関陣以下、こうした精鋭たちが絶対王者白鵬の長期休場という“鬼の居ぬ間”にどれだけ地力の差を縮めてこられたのか。その辺りも今場所の大いに注目すべき点であろう。