メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「人類最高球速」も!? 大谷翔平“モンスター級の絶好調”で「感覚と理論」が重なる“日米3人の天才”とは
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byAFLO
posted2021/03/09 17:05
オープン戦で7カ月ぶりに実戦登板を果たした大谷翔平。1回2/3を投げ5奪三振、最速161キロを記録した
「投手が投げる前から戦いは始まっている。投手に合わせるのでなく、自分から攻めていく」
由伸氏自身も「構えが大事。打席内で自然にトップがはまる。この感覚が大切」と口にしていたが、右サイドに乗せる重心の位置が決まり、構えに迷いがなくなれば、自然ボールとの距離感は生まれ、保たれる。“天才と二刀流”は同じ境地を共有している。
3月3日のレンジャーズ戦では、自己最長の飛距離となる中堅バックスクリーン越え143メートルの特大弾を放った。
この試合、見逃せない場面があった。四球を選んだ第1打席での3球目のあとのこと。大谷は上半身が投手方向へ向かないよう、右手で左肩を押さえながら、バットの出し方を確認していた。
2打席目の二ゴロも右肩が開かず、左肩が残ることに意識をおきながらバットを最短に出す。ヘッドが遅れて出てくることで余計にバットヘッドが走る。この打ち方が実を結んだのが3打席目となった。
5回無死二塁からの特大弾。苦手とされていた高めの直球を見事に仕留めた。大谷が感覚を説明する。
「上体がしっかり残っている段階で、打ちにいくかどうかを、下半身で決めている気がするので、良い傾向」
イチローとボンズにも通ずる打撃理論
この感覚論。今度は2人のレジェンドと重なった。
日米通算4367安打を放ったイチローさんは現役時代にこんな言葉で表現した。
「僕の打撃の最大の特徴はトップでグリップエンドが左耳の横でキープされること」
そして、イチローさんがマーリンズに在籍していた16年に打撃コーチを務めていた、メジャー歴代最多通算762本塁打のバリー・ボンズ氏は、当時の春キャンプでイチローさんと打撃論議を展開したときにこんな言葉を使った。