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【全治8カ月の大ケガ】“全部60点”から「すぐにスコアする男」に大変身、大阪エヴェッサ・橋本拓哉の復活劇を待て
text by
カワサキマサシMasashi Kawasaki
photograph byB.LEAGUE
posted2021/03/06 17:01
今季は3月4日現在で平均29.35分の出場、13.4得点、2.3アシストをマークする橋本拓哉
「やはり、今季は簡単にはシュートを打たせてくれませんね。ディフェンスは激しいですし、僕に絡むスクリーンは全部潰されます。それに相手チームも僕のファーストショットが3Pだと思っているから、それを消すために間合いを詰めてくる。そうなったときに、自分がどういう選択をするか。今は次の段階にステップアップするために、乗り越えないといけない時期だと思っています」
この点に関しては、天日HCも同意見だ。
「ほかのチームの選手に聞いたら、『大阪の橋本にシュートを打たせたら鬱陶しい』と言うでしょう。だから、試合で絶対に使わないといけない選手。昨季の最初は、まだそういう存在ではなかったのですが、今季はタクヤのところに一生懸命マークが付いてきますよね。今のこの状況は、彼が乗り越えるべき壁でしょう」
運動量が証明するチームへの貢献
今の橋本はシュートが打てなくても、入らなくとも、簡単にベンチに下げられる選手ではなくなった。天日HCが信頼を寄せる根拠。それは、彼のプレーに対する姿勢への評価にある。
「彼のいいところは、コートにいるときの運動量がすごく多いこと。ディフェンスでポカをすることもあるけど一生懸命にやっていますし、サイドラインを走れと言ったら一生懸命に走る。だけど周りはそのことを、あまり評価しませんよね。実はそれができることが、いちばん大事なんです。できない選手は、いっぱいいますよ」
さらに、言葉を重ねる。
「得点を獲る選手は、だれでも調子の悪い日はあります。だからこそディフェンスを頑張る、一生懸命に走るということをやらないといけない。シュートの調子が悪いだけでチームに貢献できない選手は、ベンチからすると使えないんです。でもシュートが入らなくても、ディフェンスをちゃんとやってくれたら『あいつを、コートに置いておこう』となります。そうなるとスコアラーの選手も、シュートが入らなかったときのプレッシャーがなくなってくるし、シュートが1本入って調子が上がってくることもある。タクヤはそれを、わかっているんじゃないかな」
天日HCの言葉を伝えてはいないが、ディフェンスに対して話を向けると、橋本自身もそれを自覚していた。