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恩師が「お前は…」とビックリするほど“攻撃的CB”クンデ… セルヒオ・ラモスやD・アウベスを超える逸材?
posted2021/03/02 06:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
2007年の夏、R・マドリーがペペをポルトから3000万ユーロ(約50億円)で買い取ったとき、R・マドリーの交渉術を揶揄するような報道があった。
守備が巧ければよし、とされていた当時のCBの移籍金としては法外な額だったからだ。ちなみに同年、R・マドリーはロッベンを3500万ユーロで、スナイデルを2700万ユーロで獲得している。
その後CBに攻撃の起点となる能力を求める監督が増えると、移籍市場全体のインフレと相まって、相場は高騰した。
2018年のリバプールのファンダイク獲得費用は7500万ポンド(約111億円)、マンチェスター・シティはラポルトに6500万ユーロ(約83億円)を投じ、一昨年はバイエルンがエルナンデスに8000万ユーロ(約100億円)を、ユベントスがデリフトに8550万ユーロ(約109億円)をかけている。
32億円かけてクンデを獲ったら眉をひそめられた
そうした流れの中、2019年の夏にセビージャが2500万ユーロ(約32億円)でクンデを獲ったときはメディアもサポーターも眉をひそめた。
ボルドーでELを含む70試合に出場してはいたものの、国際的にはほぼ無名の20歳で、代表歴は2018年3月に1度、U-20の親善試合に出場しただけ。
そんな選手のために、ポジションはCBなのに、2017年にムリエルに費やした2450万を越えるクラブ史上最高額(正確には2000万+成果次第で最高500万)を払うというのか。セビージャは決して裕福なクラブではないのに。
しかし、クンデを選んだスポーツディレクターのモンチは、入団会見の場において毅然としていた。
「彼をおおいに信用している。プレーする姿を繰り返し見た。ロペテギ監督が望むラインを上げるスタイルに最適のCBだ。結構な出費だったが、いまの相場では仕方がない」
加えて、巨額投資ではあるけれど「皆が考えるほどのリスクはないと思う」とも語っている。
果たして、彼の目利きは今回も的確だった。