リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
恩師が「お前は…」とビックリするほど“攻撃的CB”クンデ… セルヒオ・ラモスやD・アウベスを超える逸材?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/03/02 06:00
ドルトムントのハーランドと臆せずマッチアップするクンデ
今や「安い買い物だった」と言われるほどに
1年後に「安い買い物だった」と評されるに至ったクンデは、いまや欧州レベルで最も注目されるCBの1人となっている。
第1の特長はずば抜けた身体能力だ。そのうえで守備に際してはポジショニングが巧い。だから、不用意なタックルを仕掛ける必要がなく、ファウルが少ない。決して気を抜かず常に冷静で、敵のシュートに繋がるようなミスは滅多に犯さない。また身長178cmながら空中戦に強い。
第2の特長は足下にボールが来ると現われる。すなわち攻撃力である。正確なキックを有し、どこにパスを出せば味方の攻めを展開させられるかわかっている。前が開いているときは自ら持って上がり、敵の守備バランスを崩すことさえする。
2月10日の国王杯準決勝バルセロナ戦の第1レグでは、自陣深いところから運び始めたボールをハーフライン前で一旦スソに渡し、相手陣内でリターンパスをもらうとグリーズマンやウムティティをかわしてゴールを決めてしまった。
CBらしからぬプレースタイルが身についた理由
このCBらしからぬプレースタイルは、ボルドーの育成部門で身に付けたとクンデ自身が明かしている。
「ドリブルで前へ出ろ、相手に向かって行けと教える監督がいたんだ。ボールを失っても構わないからと。だから、マーカーを抜き去って、相手の意表を突くことができるようにならなきゃいけなかったんだ」
19歳で加わったトップチームでも、彼はその突破力と恐れずに前進する勇気を発揮した。2018年1月から半年間ボルドーの監督を務め、デビュー直後だったクンデを指導したグスタボ・ポジェは思い出す。
「ボールを持ったCBをそのまま上がらせ、中盤で数的優位な状況を作るのが好きなんだ。ところが、あいつはそこで止まらない。『お前はCBだろ』と諭さなきゃならなかった」
ポジェ監督の下でクンデは攻撃に関するスキルをさらに磨いたという。クンデにとって攻撃は、CBが担うべき仕事のひとつなのかもしれない。