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「なぜ、誰も辞任させようとしないのか?」森喜朗会長“女性蔑視”発言問題、3つの素朴な疑問に答える
text by
与良正男Masao Yora
photograph byRepresentative photo
posted2021/02/10 17:05
2月4日、JOC臨時評議会での発言の撤回と謝罪をする記者会見を開いた森喜朗会長
(3)昔から失言続きだが、なぜ気を付けないのか?
「神の国」発言にしても、今回の“女性蔑視”発言にしても、失言というより本音がもれただけだと思います。
もともと森会長は、戦前の大日本帝国憲法の精神や教育勅語、家父長制などにシンパシーを抱いていて、それが83歳になった今、変わるとも思えません。「女性は家を守るのが務めだ」という考えを持っているので、今回の会議云々の発言につながったのだと思います。
あと、森会長は昔からウケ狙いというか、サービスでいろんなことをしゃべってしまう、という傾向もありました。「神の国」発言も神道政治連盟国会議員懇談会でのものでした。
メッツからスカウトされた?
記者に対してもそうでした。
総理時代、ニューヨークでの国連総会に出席した際、メッツの試合の始球式でボールを投げたことがありました。そこそこいい投球で本人は「オレは本番に強いな」などと満足気でした。
その後、日本から同行していた官邸クラブの記者、現地の特派員と森総理の懇親会が予定されていました。その会に森総理は1時間ほど遅れて来たのですが、開口一番、このように言っていました。
「いやー、メッツのオーナーからスカウトされてさ。断るのに時間がかかって」
普段から取材をしている私たち官邸クラブの記者は「いつもの調子だ」と思っただけでしたが、現地の特派員のなかにはあまりの軽さに「この人は本当に日本の首相なのか」と驚いていた人もいました。
あらためて考えると、「多様性」をテーマとする東京オリンピック・パラリンピックの開催責任者に森会長が就いたこと自体がそもそも間違いだったのだと思います。