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東京五輪になぜ代替案も出ない? 「森喜朗会長はタイタニック号の船長」海外から“悲観論”が続出
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2021/01/28 06:00
「えひめ丸」沈没事故発生の際にゴルフを続け、それが首相辞任の引き金になったことも
1日でも早い決断が求められることは言うまでもない
この状況で日本から大局的な視点で大会開催の可否を判断し、国際オリンピック委員会(IOC)に中止を求められるのは、東京都と政府という日本の行政、政治レベルでしかないはずだからだ。そして中止の決断をして、その五輪予算をコロナ対策と医療対策へ回すなら、1日でも早い決断が求められることは言うまでもない。
すでに欧米等で始まっているワクチン接種が広く行き渡れば、開催の可能性はあるのかもしれない。ただ、当初は2020年末までに2000万人へのワクチン接種を目標としていた米国でも、咋年内の接種人数は僅かに280万人にとどまっている。
それが現実なのである。
「7月には安全な大会を保証できるはずだ」といま語ることは、まさに「たとえ神でさえも、この船を沈めることはかなわない」と言うスミス船長と同じだろう。
中止を決めれば後戻りはできないが、中止決定はいつでもできると言う声があるのも事実だ。ただこの一瞬すらもアスリートたちは7月に向けて戦っているのを忘れてはならない。一刻も早く決断することも、この状況ではアスリートファーストではないだろうか。