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【自主トレ】ダル&田中&藤浪のコラボや福島千里に弟子入り、バレエ挑戦に生肉で胃袋強化…謎練習の意図は?
text by
間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/01/15 11:02
2020年の自主トレで、田中将大は松井裕樹(左)や則本昂大らと汗を流していた
鉄平は共通の知り合いを通じて、福島がレッドコードを使って体幹を鍛えていることを知り、福島が練習する北海道を訪れた。なぜかというとシーズンに向けて、どうしても克服したい課題があったからだ。
盗塁のためのスタートダッシュを
それは、盗塁のスタートダッシュ。
50メートル6秒フラットの俊足だった鉄平だが、このシーズンは13回盗塁を試みて、成功はわずか5回。8回も盗塁死していた。「盗塁は苦手で、あまりサインを出されたくない。スタートダッシュのコツを身に付けたい」と福島の技術を盗むのが狙いだった。
陸上の花形ともいえる100メートルはスタートが勝敗を大きく左右する。コンマ何秒を争う競技で日本のトップに立つ福島から、鉄平はスタートダッシュの極意を学ぼうとした。
体幹を鍛えるトレーニングでは、天井からつるされた2本のレッドコードで足首をくくり、逆さづりのまま腹筋をしたり、足を開閉したりする。不安定な状態で体を動かすためには、強い体幹が必要。また、普段使わない筋肉も刺激され、多くの筋肉を短い時間で効率良く鍛えられるという。関節への負担が少ないことから、レッドコード発祥の地・ノルウェーでは元々、リハビリテーションの器具として使われていた。
自分専用のレッドコードを注文した結果……
レッドコードを用いた初めてのトレーニングに苦戦する鉄平とは対照的に、福島は宙づりされているとは思えない体の動きを見せた。鉄平は、その姿に「体幹の強さ、バランスがすごい」と驚き、福島との合同自主トレを終えても継続してトレーニングができるよう、自分専用のレッドコードを注文した。
その成果があったのか、迎えた2012年のシーズンでは盗塁に13回挑み、8回を成功させた。前のシーズンと同じ盗塁企画数で、成功と失敗の数が入れ替わった形だ。
元DeNA田中浩康も他競技トレに熱心だった
自主トレに他の競技の動きや練習を積極的に取り入れていたのは、ヤクルトとDeNAでプレーし、今シーズンはDeNAの二軍守備走塁コーチを務める田中浩康である。ベストナインに選出された2007年のシーズンオフ、挑戦したのはバドミントンだった。
同じ香川県の高校を卒業した同世代で、バドミントンでインターハイ2位の実績を持つ実力者と知り合い、合同練習を行った。