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【かなり早めのドラ1予想】打者編・最注目ベスト5 「高校生捕手でドラ1候補?」「“福留になれる”外野手とは」
posted2021/01/14 17:04
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
「2021ドラフト展望」、今回は野手に目を転じる(投手編はこちら)。
たとえば、昨年の佐藤輝明(内野手・近畿大、阪神1位)のような、誰もが「この選手こそ!」と力こぶの入る存在は、今のところ見当たらない。もし5人のスカウトに「野手5人挙げてください!」とお願いしたら、25人の名前が挙がってしまうかもしれない。それほどに、「野手」のカテゴリーは混沌としている。
ならば、好みとインスピレーションで選んだ5人の野手。私の中では、5選手すべてが、「どこに出しても恥ずかしくない逸材たち」だ。捕手、内野手、外野手の順に挙げていこう。
(1) 「いい匂いのする捕手」古間木大登(東京農業大オホーツク)
捕手という存在には、「匂い」が必要だと思っている。
いい匂いのする捕手。誰がどう見たって捕手だろう……そうしたタイプもいるし、上手なショートがマスクをかぶってる……そういう場合もある。いずれにしても、プロテクターとレガースの“装束姿”がピタリ似合って、捕球→送球の連動になんともいえない「間」があって、その時の「裾さばき」が鮮やかで……そうした存在だ。
捕手に限っては「フットワーク」とは言わない……「裾さばき」だ。
そこで思い出すのが、古間木大登(東京農業大オホーツク・183cm86kg・右投左打・遠軽高)だ。
裾さばきが鮮やかなのは、足首を柔らかく使えるからだ。足首が柔らかいと、スローイングの動作で軸足のスパイクが最後まで地面に着いて、ボールを長く持てて指先のかかりが十分に効く。投手なら「球持ちがいい」というやつだ。軽く投げているようで、ボールが生きもののように二塁ベースに伸びていく。
この古間木捕手が、まさにそれだ。
足首が柔らかく使えるので、ヒザと股関節もしっかり割れて、低い姿勢からしなやかな腕の振りで気持ちいいほどの白い軌跡が二塁ベースに糸を引く。
サラッと“ノンパワー”で投げているようでいて、盗塁を阻止できるスピードと精度を持つ。エイヤー!のスローイングじゃないから、精度が良くなるのは当然。このメカニズムがあれば、1年を通して練習、実戦を続けても、肩、ヒジの故障の心配が少なくて済む。この長所は、捕手にとってとても大きなアドバンテージになる。
均整抜群の柔軟な体躯と、送球時の身のこなしの敏捷性も文句なし。ショートバウンドに対して、全身をクッションにして球勢を吸収しながら止められる技術も高い。
あとはバッティングだ。2年時からレギュラーなら、バッティングの実戦力がもっと上がってきてもよい。
ボール球に手を出してカウントを作られて、ストライクゾーンを見逃してしまう。ボールを長く見られて、差し込まれるのと空振りを怖れなくなるといい。詰まったらファールにして、打ち直しに持ち込んで、失投を待つ。ファールが左方向へ高く、大きく飛ぶようになってきたら、台頭の兆しだ。