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2年生は7人…なぜ大阪朝鮮高は少人数で花園4強を掴めた? 野澤武史コーチが即答したその理由 

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藤島大

藤島大Dai Fujishima

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posted2021/01/13 06:00

2年生は7人…なぜ大阪朝鮮高は少人数で花園4強を掴めた? 野澤武史コーチが即答したその理由<Number Web> photograph by Kyodo News

ベスト4進出を決めた流経大柏戦。準決勝では優勝した桐蔭学園に敗れた

 歴史には順番がある。金信男(キム・シンナン)元監督は、たぎる情熱と創意工夫で初心者ばかりのチームを猛然と花園へ導いた。呉前監督は、鋭い理論を身上の激しさと削り合わぬように浸透させ、全国強豪の地位を確かにした。権監督は、内部競争の生じにくい少人数の学校とクラブに合致した方法で成果をもたらした。

 2010年度。大阪朝鮮高は花園4強の戦績を刻んだ。そこへ至る姿を描いたドキュメンタリー映画『60万回のトライ』(朴思柔、朴敦史監督)は高い評価を得て、たとえばラグビーがマイナー競技である韓国の国際映画祭でも賞を獲得した。

 公開時のデータに「2010年時点の全校生徒数」が記されている。男子が209名、女子は183名。この10年で半減に近い。社会情勢や意識の変化、大阪府の補助金打ち切りと国の高校無償制からの除外による学費負担の増大も背景に横たわる。

 全国大会準決勝進出のラグビー部の現在の2年部員は7名である。ベスト4は堂々の戦績であって、なお、からくも踏みとどまる薄氷の安息場なのだった。楽観はとても許されない。でも踏みとどまらなければ未来は悲観に傾いた。2020年12月28日から新年5日までの計4勝1敗。授ける者、引き出す人、考えながら闘争する少年たちによる替えの利かない時間だった。

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