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ユニフォームがカワイイけど、実はつらい売り子の仕事 それでも彼女たちが千葉ジェッツでビールを売る理由 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byCHIBA JETS FUNABASHI/PHOTO:KeisukeAoyagi

posted2021/01/08 11:00

ユニフォームがカワイイけど、実はつらい売り子の仕事 それでも彼女たちが千葉ジェッツでビールを売る理由<Number Web> photograph by CHIBA JETS FUNABASHI/PHOTO:KeisukeAoyagi

千葉ジェッツふなばしのビール売り子は重たい樽を背負いながら、コロナ禍も笑顔で働き続けている

 バスケの良さは、やはり試合の環境だと思う。

 屋外の競技のように春先や秋の終わりに寒さに震えることも、真夏の夜のような決して引くことのない汗に悩まされることもない。私たちにとってもそこまで環境の違いがあるのだから、観戦するお客さんにも優しいのがバスケなのかもしれない。

ビール売りの経験が就活で生きる理由

「就活で生きるよね」

 この仕事を選ぶ子のほとんどがそう口にする。就職活動をにらんでこのアルバイトを始める子や、就職活動の面接の際にこの仕事で頑張ったエピソードを話す子はかなり多い。

 まず、不特定多数の人とのコミュニケーションのスキルが身につく。

 ビールの樽を背負ってからどうやって売るのか。売り子自身が頭をひねり、笑顔を見せ、工夫していく必要がある。その成果は売り上げに表れるから頑張りをアピールしやすい。

 それにこのアルバイトをしている人はそれほど多くないから、面接官の受けも良いみたいだ。

売り子がコロナで受けた影響

 もちろん、コロナは私たちにも影響があった。

 例えば、お金のやり取り。

 以前であれば、素早く、お釣りを出せるようにと指の間にお札を挟んで、場内を回っていた。

 でも、今はお釣りになるお札を触る機会を減らさないといけない。だから、お会計の度に、財布代わりになっているウェストポーチから1枚ずつお札を取り出したりする。

 そもそもこれまでと違い、私たちはみんなビニールの手袋をしているから指の間にお札を挟めない。手袋のなかは意外と蒸していて、時間がたつにつれて汗ばんできたりもする。これもまた最近の特有の事情だ。

 マスクもそうだ。

 マスクをしながら階段の上り下りを繰りかえすのは大変だ。でも、私たちの仕事は口に入れるものを売ること。マスクをして、その上にフェイスシールドをつけるという徹底した管理も、この状況なら当然だ。

 ただ、マスク自体は実は、疲れたとき、しんどいときに表情を隠してくれたりもする。当たり前のことかもしれないけど、お客さんは笑顔の子からビールを買いたいと思っている。だから、常に口角を上げていないといけない。本来ならば。でも、最近は少しだけそれをサボれる。

「悪いことばかりではないよね」

 そんな風に売り子同士で声をかけ合っていたりもする。

【次ページ】 いつもいるお客さんが、今シーズンはいない

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