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【有馬記念】クロノジェネシスが牝馬の1年を締めくくるか…前走大敗バビットの一発にも期待したい理由
posted2020/12/26 17:07
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
JIJI PRESS
世界中がコロナ禍に苦しんだ2020年、日本の競馬界では牝牡の無敗の三冠馬が登場し、アーモンドアイが史上最多の芝GI9勝目をマークするなど、いくつもの金字塔が打ち立てられた。
「競馬は世をうつす鏡」と言われている。苦しむ私たちを勇気づけるべく、駿馬たちが素晴らしいパフォーマンスを披露してくれているのか。
そんな一年の総決算となる、第65回有馬記念(12月27日、中山芝2500m、3歳以上GI)のスタートが近づいてきた。
今年はコロナ対策で、台湾の蔡英文総統、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相など、女性指導者の活躍が目立った。
日本の競馬界でも「牝馬の時代」がピークを迎えている。今年これまで行われた牝牡混合古馬GIで、牝馬が何と8勝もしているのだ。これはもちろん1984年のグレード制導入以降最多である。牡馬が勝ったのは、フェブラリーステークス(モズアスコット)と天皇賞・春(フィエールマン)、チャンピオンズカップ(チュウワウィザード)だけなのだから、凄まじい。
クロノジェネシスが「女の時代」を締めくくる?
この有馬記念で、そんな「女の時代」を締めくくりそうなのが、春秋グランプリ制覇を狙うクロノジェネシス(牝4歳、父バゴ、栗東・斉藤崇史厩舎)だ。
昨年の秋華賞でGI初制覇を遂げると、今年初戦の京都記念を2馬身半差で快勝。大阪杯こそラッキーライラックから首差の2着に惜敗するも、つづく宝塚記念では、レース史上最大着差となる6馬身差で圧勝し、GI2勝目をマークした。
父が重厚な欧州血統の凱旋門賞馬バゴだけに、重馬場だった京都記念、稍重だった宝塚記念で強さを発揮できたように見られがちだが、良馬場でのスピード決着にも強い。それが証拠に、前走の天皇賞・秋では、スタート直後に挟まれて位置取りを悪くしながら、上がり3ハロン32秒8の末脚を使い、アーモンドアイにコンマ1秒差の3着まで追い込んだ。
ファン投票では、89年のオグリキャップを上回る、史上最多の21万4742票を獲得してトップとなった。
単勝でも、おそらくこの馬が1番人気に支持されるだろう。
外国人騎手への乗り替わりが当たり前になったなか、全12戦で北村友一が手綱をとっている。ここでも人馬一体となり、宝塚記念のような圧巻の走りを披露してくれるか。
半姉のノームコアが香港カップを制するなど、血の勢いもある。