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素朴な疑問 競馬にはなぜ「逃げ馬」がいるのか? サイレンススズカの“逃げ”に武豊が描いた大きな夢
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byBungeishunju
posted2020/12/27 06:02
98年毎日王冠での武豊とサイレンススズカ。あまりに鮮やかな“逃げ”は競馬ファンの記憶に残り続けている
今年の有馬記念にも逃げ宣言をした馬が
今回の有馬記念は、ラビットではない、バビットが早くも逃げ宣言。前走の菊花賞は大外枠から主張してきたキメラヴェリテの気迫に押されて2番手に控えてしまったが、本来は未勝利からセントライト記念まで4連続逃げ切りで3歳トップクラスまでのし上がってきた馬。「3歳最後の戦いは、なんとしても自分の形で」と、浜田多実雄調教師が腹を決めている。キセキの前走は「怒ってハミを噛んでしまった」(角居勝彦調教師)からこその逃げだっただけに、2頭のハナ争いはほぼないと予想できる。
逃げ馬が馬券に絡むときの最も大きな要素は、ノーマークだ。人気薄のバビットの逃げを早めに潰しに出る動きはおそらく誰もしたくないだけに、内田博幸騎手がその巧腕で淡々としたペースに持ち込んだときは、もしかしたら見せ場があるかもしれない。