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アーモンドアイ・国枝師が語る ジャパンカップのレース中に「あぁ、やっぱり勝てたなぁ」と思ったワケ
posted2020/12/06 11:03
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
11月29日、曇天の東京競馬場で世紀の1戦が行われた。芝2400メートルのGI・ジャパンカップだ。
今年、外国からの参戦は1頭にとどまったが、代わりというには余りある日本馬達が揃った。
先日の天皇賞(秋)を制し、JRA史上初めて芝GI・8勝をマークしたアーモンドアイ(牝5歳、美浦・国枝栄厩舎)、そして今年の牡牝の3冠馬コントレイル(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)とデアリングタクト(牝3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)。これが引退の一戦となるアーモンドアイは一昨年の牝馬3冠馬でもあり、史上初めて3冠馬3頭が1つのレースにゲートインする事になった。
この3頭はレース前から“3強”と呼ばれ、実際、1番人気に推されたアーモンドアイを筆頭に、2番人気がコントレイルでデアリングタクトが3番人気。オッズはそれぞれ2.2、2.8、3.7倍で、4番人気のグローリーヴェイズが17.2倍。下馬評では3頭がいかに抜けていたかが分かる。
“普通に”走れればこの馬を破るのは難しい
しかし、そんな中「普通に力を発揮出来れば大丈夫」と、自信を持っていた男がいる。アーモンドアイを管理する国枝栄調教師だ。師は続けて言う。
「他の2強も強い馬である事は充分に承知しています。だから不利があったり掛かったりといった変なレースをすると厳しくなるかもしれません。でも、そうならず“普通に”走れれば、この馬を破るのはなかなか難しいと思いますよ」
“普通に走る”ためには落ち着いている事が第一条件だった。リラックス出来ず、気が入り過ぎれば折り合いを欠きかねない。いくらアーモンドアイがスーパーホースといっても過去には昨年の有馬記念のように折り合いを欠いてしまったために敗れたレースもあったのだ。国枝調教師はジャパンC当日のレース前の様子を次のように語る。
「前日の土曜日には東京競馬場入りさせたのですが、当日は装鞍所もパドックも全く問題ありませんでした。すごく落ち着いていて、これなら良いと思いました」