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4歳でデビューのウエンツ瑛士が語る“TVに足りないもの”「出演者が楽しんでない『YouTube』はない」
posted2020/12/22 11:04
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
山元茂樹
テレビ、舞台、俳優としてさまざまなジャンルで活躍してきたウエンツ瑛士さん。「休まないことが正義みたいなところがある」というバラエティの世界で生きてきた彼にとって、イギリス留学のために1年半の休業をすること自体が大きな挑戦だっただろう。
ロングインタビューの3回目は、30年近く第一線で活躍してきたウエンツさんが見守ってきた「バラエティ番組とタレント」について話が進む。
◆◆◆
いまのテレビは「消費されることへの賞賛はなくなった」
――イギリス留学から帰国後は「自分を傷つけてでも期待や要求に応えるのは止めた」と。
ウエンツ 自分の意志を示すということもしてこなかったし、なんでも「YES」でやってきたので、求める側も自然とその範囲を広げてくるんですよね。でもそれに疑問を持つこともなかったし、そうしなければ、仕事を頂けないという感覚もあったので、僕自身が傷つくことがあっても、それを飲み込んできました。
だけど、今はテレビ自体をすごくリアルなものだと受け止める視聴者の方が増えて、ちょっと状況が変わってきてるというか……。
――バラエティ番組の見られ方が変わってきている、ということですか?
ウエンツ 昔は、「テレビは一種のショーだ」という認識が作り手と視聴者のどちらにもあって、なにか変な回答をしても「盛り上げるために、おかしなことを言っているんだな」と理解してもらえていたと思うんです。だからこそ僕たちも少し常識外れのことを言ったりして番組を盛り上げようとすることも多かった。
だけど、今はテレビ自体を「すごくリアルなものだ」と受け止める視聴者の方が増えて、たとえ自分の考えと沿わなくても少し面白くしようと思って言ったことが、「こいつ本当にバカだな」とそのまま受け取られてしまっている気がします。
――演出や要求のもとで生まれた言動が、勘違いされて消費されるという感じですか?
ウエンツ 消費されることは、構わないと今でも思っています。ただ、その消費に値する手ごたえというか賞賛というかは、なくなった気がします。逆に「消費されたくない」、「消費されない」ということを選択するほうが、賞賛される時代になっていますよね。