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「僕ってこういう性格だったんだ」ウエンツ瑛士は、なぜイギリスで“本当の自分”を見つけられたのか

posted2020/12/22 11:03

 
「僕ってこういう性格だったんだ」ウエンツ瑛士は、なぜイギリスで“本当の自分”を見つけられたのか<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

俳優でタレントのウエンツ瑛士さん

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

PROFILE

photograph by

Shigeki Yamamoto

「海外挑戦」した数多くのアスリートを取材してきた寺野典子氏による、イギリス留学にチャレンジしたウエンツ瑛士さんのインタビュー、全3回目の2回目です。(#1#3へ)

 4歳でデビュー以降、約30年間、芸能界で生きてきたウエンツ瑛士さん。「マルチタレント」という呼び名通り、バラエティ番組やドラマ、舞台、音楽など、さまざまな現場で生き抜いてきた。特別な才能に恵まれた「一流たち」のなかで、「自分の偽物感はぬぐえなかった」と、日々休むことなくストイックに仕事に打ち込み続けた。そして、2018年秋、(芸能)活動を一時休止し、1年半のイギリス留学を決行する。「ウエストエンドの舞台に立ちたい」という目標はあったが、彼にとって最も重要なことは「挑戦する」ことだった。

 しかし、到着早々思わぬことがウエンツさんを苦しめる――。「自分に向き合える時間は人生で初めてでした」と語った彼が、1年半のイギリス留学で見つけた“本当の自分”とは?

◆◆◆

「どういう留学だったのか?」感じていたプレッシャー

――頭の中で仕事のことを考えずに“初めての完全なお休み”でイギリスに出発されたわけですが、最初の頃は少し苦労されたそうですね。

ウエンツ お世話になっていた長嶋一茂さんが気にかけてくださって、何度もお電話いただいていたんですが、ある時に「お前、ちょっと鬱っぽくなってないか?」と言われたんです。

――到着して早々、体調を崩してしまって。

ウエンツ 留学へ行くときに「帰ってきたらまた番組に来てくださいね」と、本当によい形で見送っていただいたので、帰国するときには“どういう留学だったのか”というのを視聴者の方に目で見てわかる結果が必要だなと思ったんです。「本当によい経験になりました。僕は変わりました」と言っても「はい、そうですか」になっちゃうので。

 それを念頭に1年半の過ごし方を考えなくちゃいけないというところでスタートしたんです。日本語は一切話さないとかね。

――それがプレッシャーになっていた?

ウエンツ だと思います。日々は過ぎているのに、自分の進歩が見えないというのが、一番つらくて。だから「今日ご飯行こう」と誘われても、学校が終わったら夕方からはボイストレーニングのレッスンもあるし、ミュージカルも見に行きたいし……って。なかなか遊びにも行けませんでした。

――そこからなんとか浮上できたのは、なにかきっかけがあったんですか?

ウエンツ 「3カ月経った、あと15カ月しかない……15カ月で結果を残すなんて無理だ」というある種の諦めが出てきて。ちょうどその頃はクリスマスで、親や友人からメッセージが届いたりして、少し柔らかい気持ちになれたんです。一茂さんに「太陽が一番出てるから!」とスペイン旅行を勧められて行ったんですけど、そこでなにか解放された部分もありました。

【次ページ】 イギリス留学で見つけた“仮面を外したウエンツ瑛士”

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