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世界王者・村田諒太インタビュー 大学職員時代「サークル系学生の一生懸命な姿」に涙した理由 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byShigeki Yamamoto

posted2020/12/20 11:01

世界王者・村田諒太インタビュー 大学職員時代「サークル系学生の一生懸命な姿」に涙した理由<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

東洋大学職員時代に感じていたことを率直に語ってくれた村田

「こういう経験って社会人になっても絶対活きる」

「それでもいいんです。おむすび1つ売るのがどれだけ大変か、お金がどれくらい掛かるかとか、いろんなことを実体験で学べますから」

 東洋大では年に一度、白山祭(はくさんさい)という学園祭が開催される。

 学生が主体となる実行委員会が主催し、大学や学生課外活動育成会などが後援するという形。村田はここでも相談窓口となっている。

「たとえば大きなステージを毎年設置するんですけど、いつも同じ業者さんにお願いしていました。あるとき学生から“今回違うところにお願いしたい”という相談があって“じゃあその理由と予算を教えて”と伝えたら、きちんと用意してきたんです。こういう経験って社会人になっても絶対活きるじゃないですか。“学校のルール上、これはOKですか?”とかいろいろ相談してくれて、みんな学園祭をいいものにしようって真剣でした。

 僕は大学でボクシングばっかりやってきたから、こういう機会がなかった。学生って凄いなってみんなを敬う気持ちで見ていました。こういうのは東洋大学だけではないと思うんですけど、学生主体で何かをつくるという機会を提供することの大切さは凄く感じることができましたね」

失敗があっても、それが学びになる

 学生が主体性を持って、やりたいようにやってみる。失敗があっても、それが学びになる。勉強は何も座学だけじゃない。社会に出ていくために実体験の場を与えることによって、やりたいものが見えてくることだってある。職員になって、学生にとって大学はこうあったほうがいいというのは自分なりに理解した気がした。

 高校5冠を誇る村田の大学生活は1年時に全日本ボクシング選手権で初優勝し、翌年にはキングスカップで銀メダルを獲得、以降も世界選手権、北京オリンピック予選などボクシングに明け暮れた4年間になった。

【次ページ】 「足りないことは逆にいいことなんだ」

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