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いつもギリギリでダメなのに……徳島が「7年ぶり2度目」のJ1昇格を勝ち取れた3つの理由
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJIJI PRESS
posted2020/12/17 17:00
7年ぶり2度目のJ1昇格を決めた徳島ヴォルティス
シーズンを通して主力選手が稼働した
コンディショニングの成功にも触れるべきだろう。今シーズンは過密日程が招くケガを避けるために、積極的にターンオーバーをするチームが目についた。それでもケガ人が続出してしまうチームもあったが、徳島はシーズンを通して主力選手が稼働した。
そのなかでも、ダブルボランチの一角を担う岩尾憲は不可欠な存在だ。32歳のキャプテンは攻撃の起点となり、リスタートのキッカーを務め、強度の高いディフェンスで最終ラインをサポートしていった。背番号8を着ける岩尾がいることで、徳島のサッカーは躍動感に満ちていく。MVPを選ぶなら彼になるだろう。
また、大宮戦で決勝点となるヘディングシュートを突き刺した垣田裕暉は、キャリアハイの17ゴールを記録した。16年に鹿島アントラーズでプロ入りした187センチのストライカーは、17年からツエーゲン金沢へ期限付き移籍して地力を蓄えてきた。J2で4年目となる今シーズンは、高さと強さを生かして最前線で起点となり、決定力を高めていった。「チームの勝利につながる得点」を自らに課してきた23歳は、「自分の得点で勝てたのは嬉しいです」と、笑顔を浮かべた。
J1昇格をギリギリで逃してきた
2013年以来2度目のJ1昇格は、昨年12月14日の悔しさを晴らすものでもあった。
リーグ4位でJ1参入プレーオフに臨んだ徳島は、同5位のヴァンフォーレ甲府、同6位のモンテディオ山形を破って決定戦に臨む。J1で16位の湘南ベルマーレのホームに乗り込んだ。
引き分けなら湘南が残留するレギュレーションのため、徳島は勢いをもってゲームに入った。20分には先制点を奪うが、64分に同点とされてしまう。終盤は攻勢を仕掛けるもののネットを揺らすことはできず、J1昇格を逃したのだった。
もっと言えば、17年は最終節でJ1参入プレーオフ圏内から滑り落ちた。18年もプレーオフ圏内に浮上したことがあった。それだけに、キャプテンの岩尾は、「17年から毎回いいところまでいきながら、結果を出せずに今日まできました。この瞬間のために頑張ってきたので、ホントに良かったです」と話した。昇格決定の瞬間に涙をこぼしたキャプテンは、チームの強みをこう話す。