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いつもギリギリでダメなのに……徳島が「7年ぶり2度目」のJ1昇格を勝ち取れた3つの理由
posted2020/12/17 17:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
JIJI PRESS
シーズンを通してJ2を観てきた方なら、納得できる結果だろう。
徳島ヴォルティスがJ1昇格を決めた。
12月16日に行なわれた大宮アルディージャとのホームゲームで、徳島は1対0の勝利を飾った。20日の最終節を前に3位のV・ファーレン長崎との勝点差が「7」となり、J1昇格圏の2位以内が確定したのだった。
シーズンを通して安定した戦いを見せた。
コロナ禍の今シーズンは5連戦の繰り返しで、一度チームが崩れると立て直しが難しい。多くのチームが好不調の波を経験したが、徳島は連敗が一度もなく、3試合連続で勝利から遠ざかったこともない。停滞のタイミングがなく、着実に勝点を積み上げていった。
得点67、失点32 抜群だった「攻守のバランス」
攻守のバランスは抜群である。得点67はリーグ最多タイで、失点32はリーグ2位だ。ロースコアの攻防にも、真正面からの撃ち合いにも対応できる。
スキのない戦いぶりから浮かび上がってくるのは、継続性による進化である。17年からチームを率いるリカルド・ロドリゲス監督は、シーズンごとに選手が入れ替わるなかで、チームのプレーモデルを確立していった。
試合中のシステム変更もスムーズ「高い柔軟性」
戦術的な柔軟性はきわめて高い。大宮戦は4-2-3-1で戦ったが、4-4-2、3-4-2-1、3-4-3も使う。試合中のシステム変更もスムーズだ。選手たちは縦のレーンと横のゾーンを意識したポジションを取り、相手守備のライン間に生まれるギャップを巧みに突いていく。ボールポゼッションを追求しつつも、パスにばかりこだわることはなく、サイドチェンジや前線へのロングパスを効果的に織り込む。
戦術的に洗練されているだけでなく、DF登録の選手も果敢に攻め込んでいくチーム全体の攻撃的な姿勢で、対戦相手を凌駕していった。外国籍選手にセンターラインを任せることはなく、J1経験者で固めたわけでもないチームが、J1昇格を手繰り寄せた大きな要因と言える。