欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
スタメン?得点した?ばかり話題になる久保建英 中西哲生が解説する「ビジャレアルでの正しい現在地」
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2020/12/16 17:00
今シーズンの久保はリーグ戦とヨーロッパリーグ(EL)の全試合に出場している一方で、リーグ戦では得点を決めることができていない
エメリ監督は久保に対して、チームのタスクに加えて個人的な要求をしています。「ペナルティエリア内へ良い形で入っていく」、「ポゼッションでボールを失わない」、「守備面の改善」の3つです。
エルチェ戦の決定機はペナルティエリア内に良い形で、つまり早すぎず遅すぎずのタイミングで入っていき、フィニッシュへつなげることができていました。ポゼッションで不用意にボールを失うこともなかった。チームとして相手を押し込む時間が長いなかで、守備でも忠実に、堅実に対応していました。
そうしたプレーの延長線上に、ベティス戦の先発起用があったのでしょう。
シビアな局面をポジティブに変換できる
この試合のビジャレアルは、開始早々に先制点を奪いました。チームとして良い入りができたことになりますが、前半30分前後からボールの運びかたにスムーズさを欠いていきます。ベティスがビジャレアルの良さを消せるようになったと言うことができ、セントラルMFのビセンテ・イボーラが負傷退場した影響もあったでしょう。イボーラはボールのデリバリーに長けていますが、代わって出場したフランシス・コクランはどちらかと言えば守備で力を発揮するタイプですから。
久保は2列目の右サイドをスタートポジションとして、トップ下のヘラルド・モレノとポジションチェンジをしたり、右サイドバックのマリオ・ガスパルのためにタッチライン際のスペースを空けたりと、チームの狙いに沿ってプレーしていました。
26分には左サイドからのクロスに合わせて、ペナルティエリア内へ飛び込んでいきます。エメリ監督に求められているような「良い形での入り方」で、得点機と呼べるシーンです。ただ、味方選手と重なってしまったために、しっかりとシュートできなかったのは悔やまれました。
その後はビジャレアルも久保も、決定的な場面を迎えることなく前半を終えます。久保が相手にとって嫌そうなポジションを取っているのにパスが出て来なかったり、相手にパスカットされたりという場面も何度かありました。