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スタメン?得点した?ばかり話題になる久保建英 中西哲生が解説する「ビジャレアルでの正しい現在地」
posted2020/12/16 17:00
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
久保建英を巡る日本の報道は、プレータイムと得点への関与、それにスペイン紙の採点に基づいたものが圧倒的に多い。
スタメンなのか、途中出場なのか、ピッチに立ったのは何分間なのか、得点やアシストを決めたのか──。選手のパフォーマンスを評価するにあたって、それらの要素が判断基準になるのは間違いない。スペイン紙の採点にしても、継続的な取材に基づいているはずだ。
とはいえ、サッカーは個人競技ではない。「久保は先発で出場し、何分間プレーし、得点もアシストも記録できなかった」という事実は、ビジャレアルと対戦相手がどのようなプレーをしたのかも含めて、掘り下げていくべきである。サッカーは相対的なスポーツなのだ。
今シーズンの久保はリーグ戦とヨーロッパリーグ(EL)の全試合に出場している一方で、リーグ戦では得点を決めることができていない。この日本人アタッカーを継続的にサポートしている中西哲生氏に、現在地を分析してもらおう。
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エルチェ戦での「チームを好転させるプレー」
現地時間12月13日に行なわれたラ・リーガ第13節で、久保は6試合ぶり2度目のスタメンに指名されました。ウナイ・エメリ監督が先発にチョイスした背景には、前節のエルチェ戦のパフォーマンスがありました。
エルチェ戦の久保は0対0の後半開始から起用され、攻撃をはっきりと好転させました。守備ブロックのライン間でボールを引き出し、パスを供給し、自ら仕掛けていった。ペナルティエリア付近での相手にとって危険な存在となり、呼吸不全だったチームに息を吹き込んだのです。
決定的なチャンスも迎えました。ペナルティエリア内の狭いスペースでパスを受け、相手のプレッシャーに持ちこたえながらシュートへ持ち込みました。タイミングもコースも悪くない一撃が得点につながらなかったのは、相手GKを褒めるべきでしょう。エルチェのGKエドガル・バディアは、昇格1年目のチームの支えになっています。ここまで14位と健闘しているチームに、勝点をもたらす存在なのです。