第97回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
拓殖大学は2区のエースを生かせるか。7年ぶり出場の専修大学は「着実に」15位が目標。
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箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021
photograph byJMPA
posted2020/12/17 11:00
箱根駅伝予選会を全体1位でフィニッシュした拓大・ラジニ(左)。専大は2年生・高瀬桂が調子を上げている。
「すべてを経験にしてもらいたい」
ふたつ目の改革は、首脳陣の情報共有だ。今回、新型コロナウイルスの影響もあって、集合して大勢で練習することが難しくなってしまったからこそ、個人にフォーカスを当てて、それぞれに合った個別の練習を組み立てることができたという。
そういった個々の情報を、首脳陣で共有し合い、また選手たちにフィードバックしていく。
「そうするとやっぱり的確に、効果的なアドバイスができるようになりますし、それが選手たちのモチベーションにもつながりました」
7年ぶりの箱根路、ということは、チームに箱根駅伝という大きな舞台を経験した選手は誰もいない。「選手たちも取材されることが増えて、箱根駅伝という大会の大きさを感じているんじゃないでしょうか」と長谷川監督は少しうれしそうに話す。
「きっと、実際に走ってみると、また箱根駅伝のイメージも変わると思うんですよね。プレッシャーもあると思います。でも、箱根駅伝で走ったことすべてを経験にしてもらいたい。他校との差を感じたり、自分が戦えるところを見つけたり、もっと上を目指すにはどうしたら良いのかを考えたり。それが選手たちの成長につながりますし、来季以降、私たちが戦っていくモチベーションにもなると思います」
目標を「15位」とした意味
箱根駅伝予選会の2日前、長谷川監督は初めて「このくらいのタイムでいけば7位に入れる」と予想を伝えた。すると、選手たちはハッとした表情を見せた。そのタイムは、すでに練習中に達成していたタイムだったからだ。それが自信になり、結果として予選会通過を果たした。
自分たちも頑張れば、目標を達成できるんだ。目標を達成したことで生まれた自信が、結果につながることを選手たちは予選会を通して学んだ。成功体験というものが、いかに自分を成長させてくれるのか。それを選手たちは実感したことだろう。
だから、専修大学は今大会の目標を「15位」とした。高望みをして達成できない悔しさを味わうよりも、自分たちが作った目標を達成することで得られる成功体験を大事にしてほしい。選手としてだけではなく、人としての成長を願う、長谷川監督の思いも詰まった“着実”な目標だ。
「前を狙えるチャンスがあれば、どんどん狙っていけば良い。でもまずは、区間10~15位というところを目標に、着実に走ってほしい。着実、というのはチームのカラーでもあると思っていますから」