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拓殖大学は2区のエースを生かせるか。7年ぶり出場の専修大学は「着実に」15位が目標。 

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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posted2020/12/17 11:00

拓殖大学は2区のエースを生かせるか。7年ぶり出場の専修大学は「着実に」15位が目標。<Number Web> photograph by JMPA

箱根駅伝予選会を全体1位でフィニッシュした拓大・ラジニ(左)。専大は2年生・高瀬桂が調子を上げている。

計算できる頼もしいエースの存在

 箱根駅伝予選会の結果は苦戦にも映るが、見方を変えれば、主力が振るわなかったのにもかかわらず、下位だろうと予選会を通過できたのは、地力が付いた証拠とも言える。実際に、明るい材料もあった。桐山剛、新井遼平(ともに3年)といった新戦力がきっちりとハーフマラソンを走り切り、好記録を出したのだ。

 主将の石川がケガもあって出遅れているが、予選会でも好走した吉原遼太郎(4年)ら前回走ったメンバーが7人残る上に、新戦力の台頭もあり、チーム内でのメンバー争いは熾烈さを増してきた。

 そして、拓大には計算できる頼もしいエースの存在がある。ケニア人留学生のジョセフ・ラジニ(2年)だ。前回の箱根駅伝ではエース区間の2区を担い、歴代3位タイの好記録で走った。今回の予選会でも個人1位の活躍で予選会通過に大きく貢献した。

 実は、ラジニは不安を抱えて予選会に臨んでいた。2月にケニアに帰国したものの、新型コロナウイルスの影響でなかなか再来日が叶わなかったのだ。山下は、スマートフォンアプリ等を駆使して遠隔で指導。また、ラジニは、ケニアで山梨学院大学OBのソロモン・ワチーラの指導を受けて、トレーニングを積んでいた。

 だが、練習では最長でも18kmまでしか走っておらず、走り込み不足が懸念された。8月にようやくチームに合流できたが、今度は日本の道路の路面への対応が遅れ、十分な練習が積めなかったという。それにもかかわらず、箱根駅伝予選会ではあの快走だ。ポテンシャルの高さが際立っている。

「箱根駅伝では2区の区間新を狙いにいかせます」と山下が言うように、本大会では前回2区で相澤晃(東洋大学=当時)が樹立した区間記録の更新をターゲットにしている。

「前回よりも面白いレースができる」

 ただし、ラジニで勢いに乗ることは可能だが、そのためにも重要なのが1区だ。

「前回は、1区で2分30秒近く遅れましたが、1区で1分以内に抑えることができれば、前半から流れに乗れる。1区から出遅れないことが大前提ですね」

 ラジニの快走を生むのは1区次第……。1区で好位置に付ければ、2区では一気に先頭を窺うことも可能だろう。そこからは、その貯金をいかにキープできるかというレースになる。

「2区にはラジニがいますし、3区、4区、5区と、力を付けた経験者が担うことになると思います。前回の往路は10位でしたが、今回はもっと良い順位で折り返したい。うちは“よーい、どん”よりも駅伝のほうが得意な選手が多い。単独走ができる選手も増えてきました。そういう選手を復路では起用できる。前回よりも面白いレースができるんじゃないかと思いますね」

 予選会であらわになった課題をクリアし、復路で持ち味の“粘り”を発揮できれば、2年ぶりのシード権が見えてくるだろう。

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