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西武ドラフト1位“ドカベン”渡部健人も大喜び!「大学日本一」は消えるも桐蔭横浜大が得た悔しがれる権利
posted2020/11/15 11:01
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
最後の打者から空振り三振を奪うと、桐蔭横浜大のエース・片山皓心が両手を突き上げた。西武ドラフト1位の三塁手・渡部健人も右拳を突き上げながらマウンドへ。主将・加賀航は守備固めで就いたレフトのポジションから遅れて歓喜の輪に飛び込もうとするが、あふれる涙を抑えることができなかった。
11月9日から4日間にわたって行われた「横浜市長杯争奪第16回関東地区大学野球選手権大会」。毎年、全国大会でも上位進出が多い関東5連盟代表10校(各リーグ2位までが出場)が秋の大学日本一を争う明治神宮野球大会の出場枠「2」を目指し激闘を繰り広げる。また、毎年プロ野球ドラフト会議が行われた後に開催されるため、多くの野球ファンで賑わう大会のひとつだ。
明治神宮大会が中止、観客もなし
だが今年は様相が異なった。各校がリーグ優勝を目指して戦っていた10月9日、秋の大学日本一を争う明治神宮大会の中止が決まった。ただでさえ、新型コロナ禍の影響で春の全日本大学野球選手権が中止となっており「秋こそは大学日本一を」と意気込んでいた各校はその目標を不可抗力で失うことになった。
横浜市長杯は明治神宮大会に繋がる大会ではなくなり、感染拡大防止の観点からスカウトや報道陣、チーム関係者以外の入場を禁止する無観客試合となった。
各校モチベーションが落ちても仕方のない条件が並ぶ中ではあったが、大会は例年通りの好ゲームが展開され、最後の公式戦が終わり涙に暮れる4年生の姿もあり、全校が優勝に向けて精一杯の汗と涙を流した。
その中で頂点に立ったのは2012年秋以来の大学日本一を目指していた桐蔭横浜大だった。