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西武ドラフト1位“ドカベン”渡部健人も大喜び!「大学日本一」は消えるも桐蔭横浜大が得た悔しがれる権利
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2020/11/15 11:01
横浜市長杯を制した桐蔭横浜大。「大学日本一」の目標は奪われたが、それ以上に得るものがあった
「悔しがれる権利」とは?
桐蔭横浜大・齊藤博久監督は、神奈川大学野球秋季リーグの優勝争いをしていた最中で明治神宮会の中止が決まったことで、選手たちに2つのことを求めた。
「いろんな人が悩んでこうなった結果なので、中止という決断をした人に敬意を持とう」
「“日本一になれたよね”と言えるチームと結果にしよう」
それに倣うように主将・加賀航も「悔しいのは俺たちだけじゃない。俺たちだけが悔しがっていたら他校に遅れてしまう」とチームに奮起を促した。
これでチームの勢いはさらに加速した。4番・渡部がリーグ最多タイ記録の8本塁打を放てば、エース片山が6勝を挙げるなど、軸となる4年生たちを中心に躍動し、リーグ優勝を達成。横浜市長杯でも中央学院大に渡部の特大弾で先制し、最後は機動力が相手のミスを誘って2対1とサヨナラ勝ちを果たすと、準決勝では打線が繋がり共栄大を8対1で破り、決勝に駒を進めた。
本来であれば決勝進出2校に明治神宮大会の出場権は与えられていた。それだけに準決勝の試合後、加賀は「“悔しがれる権利”を得ることができました」と話し、今季最終戦となる決勝に向けて「胸を張って“全国で勝てた”と言えるようにしたいです」と意気込みを語った。
「苦しい1年でしたが、寂しい」
迎えた決勝戦は東京新大学リーグ優勝校の創価大と対戦。試合前半に4年生の内山昂思と瀬戸泰地のタイムリー、渡部の犠飛で4点をリードした桐蔭横浜大は、創価大の猛追を3試合連続完投の片山が振り切って4対3。横浜市長杯2回目の栄冠に輝いた。
齊藤監督は「4年生がチームを支えてくれました。“日本一になれたチーム”と選手たちにはこれから伝えます」と称え、渡部も「日本一のチームになれたと思います」と胸を張った。加賀は「(もし全国大会がやれるなら)やりたかったという思いはあります。苦しい1年でしたが、もうこのメンバーで試合ができないのは寂しいです」と本音を語った。