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食事会場は授業中の教室のように…ドクター&広報が語る、日本代表の感染予防策と取材対応 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2020/10/30 17:02

食事会場は授業中の教室のように…ドクター&広報が語る、日本代表の感染予防策と取材対応<Number Web> photograph by Getty Images

練習中に笑顔を見せる南野拓実(右)と酒井宏樹ら。しかしこのトレーニングに合宿生活も、厳格な感染予防策が取られた

「TeamCam」で選手たちの一面が……

 オウンドメディアの強化にもこだわった。そのひとつが、YouTubeのJFAチャンネルに連日アップされた「TeamCam」である。

(※YouTube「JFATV」の「TeamCam」)

 吉田が「新しい10番について緊急インタビューです。どうですか?」と振ると、南野が「え、誰ですか? 新しい10番」ととぼけて笑いを誘う――。

 そんな「TeamCam」を運営するのは、2年前に設置されたプロモーション部である。青木克史が部長を務めるこの部署のミッションは、ファン・サポーター、サッカーファミリーなどに向けて情報を発信したり、コミュニケーションをとってエンゲージメントを高めることにあった。

「TeamCam」によるチームや選手たちへの密着映像は今遠征から15分ほどの長さとなり、トレーニング中の映像はより迫力が増した。オフ・ザ・ピッチの映像はホテル内での生活風景やチームの雰囲気、選手の素に近い表情が窺える内容になっている。

 つまり、一般の報道では出ない、インサイドならではの映像ばかりなのだ。

「代表人気というのは当然のことながら」

「15分というのは意識したわけではないんです」と青木は言う。

「ただ、チームのことをしっかり伝えようと編集していった結果、これくらいの長さになった。選手やスタッフが良い発言をしていたり、良い表情を見せてくれている部分はカットせず、逆に、リラックスしていたり、ふざけすぎているところは取り上げないようにした。トレーニング風景や試合のロッカールームも、森保監督が戦術的な指示を出しているところは、勝負事なので表に出せません。その結果、エモーショナルな指示の場面しかお見せできていないのは、ご容赦いただきたいです」

 もっとも、内容の大幅な改善は、今回のオランダ遠征でメディアが渡欧できず、報道量が大幅に減ることを懸念したためではない。

 プロモーション部がサービス改善の議論を本格化させたのは、2019年11月の日本代表戦を終えたあとだったという。

「代表人気というのは、当然のことながら波があります。視聴率の低下やチケット販売が苦しいんじゃないか、という報道が出たこともあったが、我々としては好不調に一喜一憂せず常に危機感を持って、何ができるかという話し合いを局内組織の枠を超えて行なってきました。改善案や新たなアイデアは膨らんでいたのに、この1年間試す機会がなかった。ようやく今回、オランダ遠征が組まれたおかげで、チャレンジできたというわけなんです」

【次ページ】 柴崎や川島、植田だけでなく西シェフらも

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