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食事会場は授業中の教室のように…ドクター&広報が語る、日本代表の感染予防策と取材対応 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2020/10/30 17:02

食事会場は授業中の教室のように…ドクター&広報が語る、日本代表の感染予防策と取材対応<Number Web> photograph by Getty Images

練習中に笑顔を見せる南野拓実(右)と酒井宏樹ら。しかしこのトレーニングに合宿生活も、厳格な感染予防策が取られた

「ガウンやゴーグルも入れました」

 今遠征ではUEFAとJFAが定めたプロトコルに則り、試合の72時間前以内にPCR検査を実施。陽性反応者が出た場合、その選手は隔離され、濃厚接触者とみなされた者も再度検査を受ける必要がある。

 それゆえ、日本代表チームはカメルーン戦の2日前とコートジボワール戦の2日前にPCR検査を行なうのだが、実際にはその2回だけではなかった。

「選手が所属クラブに戻る際、陰性証明を義務付けるクラブもありましたので、試合に向けた検査だけでなく、帰国するための検査も必要でした。ですから、検査を計3回行えるような体制を準備しました」

 準備に費やす時間だけでなく、オランダに持ち込む荷物も普段より膨らんだ。 新型コロナウイルス抗原検査迅速キットに加え、消毒液、マスク、手袋をいつもより多めに詰め込んだからだ。

「普段は持っていかないんですけど、ガウンやゴーグルも入れました。倦怠感、発熱のある選手にすぐに対応できるように」

近隣国の選手は手配したハイヤーで

 10月5日には、選手たちが続々とホテルに集まってきた。

 ドイツから大迫勇也、ベルギーから伊東純也、ポルトガルから権田修一、フランスから川島永嗣が到着し、代表スタッフと久々の再会を喜び合う。

 イタリア、スペイン、ポルトガル、フランスから来る選手は飛行機に搭乗したが、オランダはもちろん、ベルギー、ドイツといった近隣の国でプレーする選手はJFAが手配したハイヤーで現地に乗り着けた。移動中に外部と一切接触しないように、という配慮からだ。

 選手たちが集まると、ミーティングルームで反町が注意事項を伝えた。

「ここでの活動はJFAのガイドラインに従ってもらうから、と最初に伝えた。マスクの着用も含めて、厳しいことを言うよ、と。実際、最初の頃、マスクをしないで話をしていた選手に、『それはやめろ』と注意した」

 それ以降はドクターの土肥を中心に、注意喚起を促した。

「集合時、食事前、ミーティング時、部屋に帰る前と、内容によってタイミングを見計らい、一度にすべてを言わないようにしました。こんがらがってしまいますからね。朝にはこうやって体温を測ります、必ずコンディションを記入してくださいとか、ポイント、ポイントで説明して」

【次ページ】 食事会場はまるで授業の教室のように

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