水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
冨安健洋、驚異の守備力と「首振り回数」 吉田麻也との10歳差コンビに水沼貴史も太鼓判
posted2020/10/19 17:00
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph by
Getty Images
久しぶりの日本代表戦でしたね。カメルーン戦とコートジボワール戦では森保一監督始め、選手たちがこの状況下で活動する意義を噛み締めながらプレーしていたことが伝わりました。準備も短い中で「負けなかったこと」と「無失点だったこと」は評価に値すると思います。
2試合で改めて感じたことは、今回招集された選手たちが日々戦う舞台が「世界」だということです。以前であれば、アフリカ勢との親善試合は「こんなところから足が出てくるのか」「とんでもないジャンプ力だ」と“驚き”を経験する場所でもありましたが、特に守備の選手たちは対人の部分で「当然のように」プレーしていました。いつボールを奪いにいくのか、どのぐらいのフィジカルの強さやスピード、技術を持っているのか。それを、それぞれが肌感覚で知っている。
例えばフランスリーグでプレーする酒井宏樹は、ネイマールやアフリカ系のとんでもないウインガーたちと毎週のように対峙しているわけですからね。もちろん戦術的な分析はあると思いますが、身体能力で勝る相手との1対1を“スタンダード”にこなしていました。欧州組のみの招集となったことで、より顕著に現れたのかもしれません。
驚いた冨安の「首を振る回数」
特に吉田麻也と冨安健洋の関係性は素晴らしかったですね。32歳となった吉田も再び評価を上げていますが、やはり冨安の成長ぶりには目を見張るものがありました。
コートジボワール戦での1対1では一回も負けていないというデータが物語っている通り、危ない場面はほとんどありませんでした。その相手を跳ね返す力もさることながら、一番驚いたのは冨安の「首を振る回数」。身体能力が高い選手を抑えるに当たって、体格で劣る日本人DFは横からのボールが不得手とされてきました。斜めの体勢でのステップワークで後手を踏めば、当然ジャンプで競り合うこともできないし、カバーにも間に合わない。ただ冨安は首を振ることで相手よりも先に対応する準備ができている。そして何よりステップワークが速い。相手FWからすれば、仕掛ける時に一瞬迷いが生じていると思いますよ。