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阪神・藤浪晋太郎は中継ぎで復調へ イップスはどうすれば治るのか…家族関係が原因のことも
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/10/17 11:03
中継ぎへの配置転換で輝きを取り戻しつつある阪神・藤浪。13日の中日戦では161kmをマークした
家族や指導者、チームメイトなどとの関係も原因に
その心的要因としては、故障や過去の失敗、家族や指導者、チームメイトなどとの関係や結果への不安などがある。そういうプレッシャーが過度に増幅されることで、小脳に緊張やパニックが起こって、自分の意思とは全く違う動きをしてしまうことになる。
しかもイップスはスポーツだけの問題ではない。
河野所長は過去には演奏中に楽譜が真っ白に見えてしまうようになったギタリストやイメージ通りに指が動かなくなったことから頭がオーバーフローしてしまった音大生、選挙や支持者の期待に応えなければならないという不安からパニック症候群を起こして飛行機に乗れなくなった国会議員など、これまで見てきた様々な症例を紹介しながらイップスの様々な出現の仕方を解説する。
意外と私たちの身近にある障害
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決して他人事ではない。イップスとは気づかないが、意外と私たちの身近にある障害であることを本書は解き明かす。
そしてこの本の大事なところは、イップスとは決して不治の病ではなく、タイトル通りに乗り越えることができるものだということ、そしてその乗り越え方を様々な角度から解明している点にある。
イップスを克服していく方法には、もちろん催眠療法などの治療的な方法もあるが、まず大事なのは隠れた自分の本心と向き合い、いまのうまくいかない、弱っている自分自身を受け入れること、それを責めないことだと河野所長は説く。
その上で実際の場面では力を抜いて、喜怒哀楽を抑え込まずに、新しい自分のイメージを作り出していくことの大切さを強調している。