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阪神・藤浪晋太郎は中継ぎで復調へ イップスはどうすれば治るのか…家族関係が原因のことも 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2020/10/17 11:03

阪神・藤浪晋太郎は中継ぎで復調へ イップスはどうすれば治るのか…家族関係が原因のことも<Number Web> photograph by KYODO

中継ぎへの配置転換で輝きを取り戻しつつある阪神・藤浪。13日の中日戦では161kmをマークした

投手生命を絶たれた投手もいる

 一度、この病にかかると一生、ついて回り、最悪のケースはショートスローだけでなくピッチングでも弊害が出るケースもある。そうして投手生命を絶たれた投手も見たことがあったからだ。

 ただ、そんな厄介なイップスを数多くの症例から分析し、その克服の仕方を解説した本に出会った。

『決定版 イップスの乗り越え方──メンタルに起因する運動障害』(BABジャパン刊)という、日本イップス協会会長でイップス研究所の河野昭典所長が書いた本だった。

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 河野所長は横浜でイップス研究所を開いてすでに16年の月日が経ち、これまでにイップスだけで7000例、心の病も含めれば1万例を超える症例と向き合ってきている。その経験を踏まえた上で、本書はタイトル通りイップスが起こるメカニズムとその克服への考えを示している。

イップスが起きるメカニズム

 イップスはなぜ起こるのか?

 例えば投手がボールを投げる動作では、大脳がまず投げるという動作指令を出す。ただ、その動作を繰り返し練習することで、自分にあった正しい投げ方を覚えるのは、大脳ではなく無意識の動作を司る小脳なのである。その小脳が大脳から「投げろ」という観念的な指令を受けて、これまでの経験や反復動作から実際の動きへと修正して、大脳の運動野や脊椎にフィードバックする。そうして初めてその投手は思ったボールを投げることができるわけである。

 ところが大脳の指令を受けて実際の正しい動きへと修正するはずの小脳が、極端な不安や緊張などの心的要因で混乱し、正しく大脳にその動きをフィードバックできなくなってしまうことが起こる。

 そうなると「いくら大脳が『こうやって動こう』と指令を出しても、混乱した小脳は状況に応じた修正機能を発揮してくれません。パニック状態の中で、指令(意識)とはまるで違う動きに修正されて大脳に戻り、動作として表面化する」(同書)――それがイップスが起こるメカニズムなのである。

【次ページ】 家族や指導者、チームメイトなどとの関係も原因に

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