“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
早稲田トリオ旋風の中…柳田・千賀・甲斐を一挙に!ドラフト史に刻まれるソフトバンクの伝説指名
posted2020/10/16 11:02
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Mami Yamada
※以下、当時の指名順。成績のデータは全て10月14日現在のもの
即戦力に頼らざるを得なかった楽天
◇2010年楽天指名一覧◇
×1位 大石達也(早稲田大・投手)
1位 塩見貴洋(八戸大・投手)
2位 美馬学(東京ガス・投手)
3位 阿部俊人(東北福祉大・内野手)
4位 榎本葵(九州国際大付高・外野手)
5位 勧野甲輝(PL学園高・内野手)
育成1位 加藤貴大(北信越BCリーグ富山・投手)
育成2位 木村謙吾(仙台育英高・投手)
育成3位 川口隼人(滋賀高島ベースボールクラブ・内野手)
球界に参画して6年目(ドラフト参加は7回目)の若い球団だけに、ドラフトでは常に即戦力を求めざるを得なかった。05年から3年間続いた分離ドラフト(高校生ドラフトと大学生&社会人の指名を別々に行う方式)で田中将大投手(06年高校生1巡目)を指名できたのは制度の恩恵。もし通常のドラフトだったら楽天はこの年、即戦力が期待される大学生か社会人の投手を指名していたはずだ。
1、2位がしっかりと戦力になった星野体制
10年の1位塩見、2位美馬は戦力になった。
塩見は通算46勝55敗。筆者が基準とする成功選手の目安「投手・通算50勝、300試合登板、野手・500安打、1000試合出場」への到達は目前。今年の防御率は4.41とよくないが、首位を走るソフトバンクには2勝0敗、防御率0.66と相性がいい。美馬は51勝60敗を挙げた19年限りでFA権を活用してロッテへ移籍。今季は13日時点ですでに9勝3敗の好成績を挙げ、塩見同様、首位争いを演じるソフトバンクには前年の3勝1敗に続き、今年も4勝1敗と相性がいい。
高校生だった榎本、勧野はともに現役を引退。どちらも期待されたほど足跡を残すことができなかった。ただ、それは2人だけではない。この年まで生え抜き高卒選手で戦力になったのは田中将、銀次、辛島航の3人ぐらいだろう。通算でも松井裕樹がここに加わるだけで、高卒選手育成は難しさを痛感する。