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藤井聡太二冠は進学校だけど…「将棋は偏差値が高い子どもが有利?」「理系と文系で差は?」“教授”に聞く 

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小島渉

小島渉Wataru Kojima

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posted2020/10/11 17:01

藤井聡太二冠は進学校だけど…「将棋は偏差値が高い子どもが有利?」「理系と文系で差は?」“教授”に聞く<Number Web> photograph by KYODO

最年少二冠、最年少八段昇段を果たした藤井聡太。愛知県の進学校に通う

勝又 ネットがない時代だと、強い人がゴロゴロいるのは大都市ですから、地方に住んでいるとなかなか教わる機会がなかったと思います。でもいまは、頑張って将棋を強くなろうと思えば、何でもできます。例えば広島の糸谷哲郎八段、岡山の菅井竜也八段、青森の阿部光瑠六段。彼らは地方に住んでいても、ネット将棋をひたすら指してプロになった人たちです。

 でも、ネットがない時代の勉強方法が効率が悪いとも、私は思わないんですよね。大事なのは「将棋が好きかどうか」でしょう。私が将棋を覚えたてのころの話です。巨人ファンの父親が通勤のおともにいつもスポーツ紙を買っていまして。父が帰宅すると私はいつも「お土産は?」と聞くんです。父はそのスポーツ紙の詰将棋欄だけ持って帰ってきてくれて……1日1題の詰将棋を年間で200問、あとは近所のおじさんと指すぐらいだったんですよ。入門書は母が加藤一二三九段の『将棋の初歩入門』(大泉書店)を買ってくれたんですけど、駒の動かし方の初歩からいきなり必至問題やプロの矢倉に話がいくので、正直分からなかったんです。でも一生懸命読んだし、新聞詰将棋もたくさん解いた。そのおかげで小学5年制で初めて道場に行ったら、アマチュア初段と言われました。一所懸命勉強すれば強くなるんです。

 そうそう、加藤先生の本はルビが振ってないし、「局面が飽和状態になった」と書いてあっても小学生には理解できないから、辞書を引きながら読みました。そしたら国語の成績も伸びました(笑)。

藤井聡太二冠も漢字が書けない頃から詰将棋の答えを書いてた

――新聞に掲載されている観戦記を読めば、新聞を読む習慣が付きます。将棋の本は大人向けが多いですが、幼稚園とか小学校低学年のお子さんだと、符号とひらがなだけ読んで理解すると聞いた記憶があります。

勝又 それも好きじゃないとできないよね。藤井聡太二冠も幼稚園の、漢字が書けない頃から詰将棋の答えをノートに書いてたという話もありますね。長くやっていて好きなら、強くなるはずなんです。強くならない子どもに聞いてみると、おうちではほとんどやってない。保護者の方々は「教室にさえ行かせれば強くなる習い事だ」と思っているかもしれないですが、学校の勉強で週に1回だけ教えてもらって身につく教科はないじゃないですか。将棋も週1回だけ教室でやるだけじゃ、強くならないんですよ。

「負けると泣く」子どもにも2パターンある

――どういうお子さんが将棋に向いていますか?

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